遠藤憲一「ドクターX」海老名役は宝物 西田敏行とのアドリブで誕生

[ 2016年11月10日 08:00 ]

遠藤憲一インタビュー(上)

「ドクターX」にゲスト出演する遠藤憲一は西田敏行と抱擁(C)テレビ朝日

 俳優の遠藤憲一(55)がテレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」(木曜後9・00)の第5話(10日放送)と第6話(17日放送)にゲスト出演する。「御意!」のセリフでおなじみの海老名敬を好演し、シリーズ第2弾からレギュラー出演。今回はスポット参戦になるが「コワモテなのに情けない役がドラマやCMでも増えるようになったのは、間違いなく海老名が始まりだったと思います」と自身の幅が広がった作品と役柄に感謝する。メガヒットドラマの名物キャラクターは共演の西田敏行(69)とのアドリブの応酬から生まれた。

◆「顔はコワモテ、ハートは弱い」シリーズきっての“愛されキャラ”

 主演の米倉涼子(41)扮する孤高の天才外科医・大門未知子が金と欲にまみれた病院組織にメスを入れる人気医療サスペンス。2年ぶりのシリーズ第4弾は天敵・蛭間重勝(西田)率いる国内最高峰「東帝大学病院」が舞台。医療の本質を見失い、病院の格付けに躍起になる“白い巨塔”に立ち向かう。

 遠藤演じる海老名はシリーズ第2弾(2013年10月クール)、第3弾(14年10月クール)、スペシャル(今年7月3日放送)に登場。その権力を前にプライドをかなぐり捨て、ひたすら「御意」と言い続け、時には蛭間の秘密が書かれた手帳をムシャムシャ食べるなど、蛭間に仕え続けてきた腹心。現在は「国立高度医療センター」の金沢分院に飛ばされ、外科部長の座に納まっているが、今回は蛭間を窮地から救うべく金沢から駆け付ける。

 遠藤は典型的な“上には弱く、下には強い人間”を絶妙なバランスで表現。コワモテの顔なのに子犬のように目が潤んだと思えば、蛭間に反論できず“なで肩モード”でシュンと意気消沈するなど、中間管理職の悲哀を愛らしく体現した。ともすれば視聴者に嫌われかねないセコい役柄は“シリーズきっての愛されキャラクター”に昇華した。

 役作りについて尋ねると「自然と西田さんとの絡みが多かったので、西田さんにイジられているうちに内面の弱い男に変貌していったというか。第2シリーズの中間ぐらいから、そうなっていったんじゃないかという気がするんですが、顔は怖いのにハートの弱い男という設定になって。オレが作り上げたというより、西田さんが作ったキャラクター。西田さんのアドリブに精いっぱい付いていったら、自然とそうなったという、珍しいパターンですね。気が付いたら、そんなキャラになっていて。脚本もだんだん、そういうふうに書かれるようになって。大もとは西田さんです」と分析。千軍万馬の遠藤をして、そう言わしめる西田のアドリブとは――。

◆西田との芝居は「ワクワク」アドリブは「慌てずに付いていくこと」

 「ギャグじゃなく、的を射たアドリブなんですよね。前シリーズのキャラクターをしっかり生かしながら、例えば、蛭間(西田)は海老名(遠藤)の下の名前を覚えていないんですが、今回、またそこをぶっこんできて、違う名前を言い始めたり。何が飛び出すか分からないから、西田さんとの芝居はワクワク。いい意味のスリリングさがあります」

 初共演は、西田が主演を務めたTBS「浅草ふくまる旅館」(2007年)に遠藤がゲスト出演した時。「アドリブというより、台本上にはない『はは~』とか『お~』とか『そう』とか、合いの手を入れる言葉が自然に入るんです。その時、オレはもう新人じゃなかったので、逆にやりやすいと思いました。もちろんセリフは覚えていきますが、いざ本番で対面して、西田さんにアドリブで『ホントに?』と聞かれたら、自然に『ホントです』と返す。アドリブに反応できたら、その後、自分のセリフを言えばいいわけで。西田さんにちゃんと対峙していれば、たとえアドリブが来ても、いい方向に膨らみます」と振り返った。

 西田の芝居はリハーサルから本番でグッと変わるという。「こっちも、テストから本番で変わっているから、本番でリハーサルと違ったことを言ったりすると、西田さんがまたそこを返してくる。それがまたおもしろいです。最初のイメージと違い『あれ?こういうシーンになっちゃった』という時もあります」。オンエアの裏側で、達人たちがしのぎを削っている。先輩との“演技合戦”で大切なのは「『あっ、アドリブ』とパニックにならないで、慌てずに付いていくこと。とにかく西田さんをじっくり鑑賞して、よーく西田さんの表情や動きを見て、聞かれたことに返していけば、絶対、何かが生まれるので。普通の会話もそうじゃないですか。相手の反応によって、こっちの表情や言葉が出たりしますよね」と心構えを明かした。

 西田との“共同作業”で誕生したキャラクター。「海老名を演じるようになってからというもの、街で「『ドクターX』見てます!」と声を掛けてくれる小学生の数が多いことにビックリしたんです」と人気を実感。「僕も大好きな役。コワモテなのに情けない役がドラマやCMでも増えるようになったのは、間違いなく海老名が始まりだったと思います。幅が広がった?そうですね。一際、愛着?宝物のキャラクターですね。だから感謝しています。この作品と役にはね」と締めくくった。

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