声優の肝付兼太さん死去 26年間「ドラえもん」のスネオ役担当

[ 2016年10月25日 05:30 ]

2005年3月17日、「ドラえもん」の最後のアフレコ収録を終えた肝付兼太さん(右)らレギュラー声優
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 アニメ「ドラえもん」でスネ夫の声などで知られる声優の肝付兼太(きもつき・かねた、本名兼正=かねまさ)さんが20日、肺炎のため死去した。80歳。鹿児島市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は非公表。

 今年5月ごろに体調を崩し、その後入院していた。所属事務所によると「それいけ!アンパンマン」のホラーマン役が最後の仕事で、約3カ月前に収録したという。

 昨年6月、「ドラえもん」のジャイアン役で共演した、たてかべ和也さんの葬儀では弔辞を読み、「ジャイアンのくせに、なぜ先にいっちゃうんだよ!」とスネ夫の声で呼び掛け、弔問客の涙を誘った。

 高校卒業後、東京の大手デパートに就職したが、10カ月で辞めて劇団「七曜会」の研究生になった。入団2年後、先輩の代役でラジオドラマに出たのが声優初仕事。30歳だった65年に「オバケのQ太郎」のゴジラ役で初レギュラーをつかんだ。

 1979年4月からテレビ朝日で放送された「ドラえもん」では、裕福で要領の良いスネ夫役を担当した。声優陣を一変した2005年3月まで約26年演じ、ハマリ役となった。

 なお同作の主な声優では、肝付さんとたてかべさんのほか、昨年11月に出木杉役の白川澄子さんが、ともに80歳で亡くなっている。

 独特のかれた高めの声はスネ夫のほかに「おそ松くん」のイヤミや、「忍者ハットリくん」のケムマキなど、キザで意地悪なイメージの役に合った。だが演技の幅は広く、「銀河鉄道999」では真面目な車掌役、「ドカベン」では天才の殿馬など、個性的な脇役を数多く演じた。

 藤子不二雄作品には欠かせない声優で、「ジャングル黒べえ」では主役の黒べえを担当した。

 83年に「劇団21世紀FOX」を旗揚げ。今年6月、東京・下北沢での公演を最後に活動を休止している。4月に劇団のブログなどで「無期限の充電期間に入る」と発表していた。

 ◆肝付 兼太(きもつき・かねた)1935年(昭10)11月15日、鹿児島県生まれ。3歳で家族と上京。高校時代は演劇部を設立。当時から声優を志す。卒業後、劇団「七曜会」で活動しながら声優デビュー。大山のぶ代ら「ドラえもん」レギュラー陣とともに07年の東京国際アニメフェア功労賞、12年声優アワード功労賞を受賞。

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