ヤクルト高津監督が連覇に導いた「信頼」と「我慢」のタクト 「輪が崩れない素晴らしいチーム」に

[ 2022年9月25日 22:18 ]

セ・リーグ   ヤクルト1―0DeNA ( 2022年9月25日    神宮 )

<ヤ・D> 胴上げされる高津監督 (撮影・光山 貴大)
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 ヤクルトは25日、DeNAにサヨナラ勝ちし、2年連続9度目のリーグ優勝を決めた。高津臣吾監督(53)は就任3年目で2度目のリーグ制覇で、ヤクルトの連覇は野村克也監督時代の1992、93年以来、29年ぶり2度目となった。

 0─0の9回1死二塁、途中出場の丸山和がエスコバーから左中間を破るサヨナラ二塁打を放った。リーグ優勝決定試合で、ルーキーのサヨナラ打は初めて。サヨナラによる優勝は15年のヤクルト・雄平以来、7年ぶりとなった。

 胴上げ後のインタビューで高津監督は「丸山(和)だけじゃなく、チームみんな、選手みんな、コーチみんな、スタッフみんなをここまで信用して信頼してやって来た。ファンのみなさんも一緒にチームスワローズとして、本当に今日の1勝がチームスワローズが挙げた大きな大きな1勝なんじゃないかなと思っています」と胸を張った。

 「絶対、大丈夫」とチームを鼓舞した昨年の初制覇とは違う、苦しい1年だった。昨年9勝を挙げた奥川を欠いた。それでも、現状の中でベストを尽くすことに腐心。そのひとつが新たな力の発掘だった。阪神との開幕戦の先発には「6番・遊撃」で3年目の20歳の長岡を抜てき。4安打1打点で7点差逆転勝ちに貢献した。4月8日の巨人戦では菅野から先制打を放つなど、6月末で33打点と勝負強さを見せた。攻守にまだ課題が多いが「本人もしんどいと思うが僕も我慢」と起用し続けた。9月9日の広島戦では殊勲の2ランでチームを救うなど、長岡も応えた。投手では20年ドラフト1位の木沢を中継ぎに抜てきし、ここまでチーム最多登板と欠かせない戦力に定着させた。「ヤングスワローズ」と呼ぶ若手を適材適所に起用するのは現役時代の恩師・野村元監督のようだった。

 快進撃を続け7月2日に史上最速でマジック53が点灯。だが、同じ7月上旬にコロナ集団感染の危機を迎えた。高津監督自身も感染。それでも前向きだった。チームを離れてミーティングに参加し、現場でコーチ陣が決めたオーダーを「このままいきましょう」と受け入れた。「やっぱりその場にいないと感じられないものの方が、何倍も多い」。チームの窮地で選手にもスタッフにも寄せた信頼。まさに「一丸」の結束力をもたらした。

 7月2日の初マジック点灯から86日目のゴールは65年南海の82日目を上回る最長だった。それでも、5月21日以降、一度も首位を譲ることはなかった。DeNAには最大17・5ゲーム差から4ゲーム差まで迫られたが、8月26日からの敵地での直接対決で3連勝。勝負どころでは強さを発揮した。「なかなか崩れない。なかなか輪が崩れない素晴らしいチームと一丸になって戦えた結果が今日この9月25日を迎えられた。みんなの力」と称えた。

 野村監督も成し遂げたことのない2年連続日本一へ「今年2月1日のキャンプがスタートする時にキャプテン山田が“今年大きな高い山、壁があります。それを乗り越えていきましょう”と言いました。一つ壁を破ったのかなと。まだまだこれから高い山、壁が待ってますけど、クライマックスをしっかり戦い、その先の本当の大きな山の頂点に立ちたいと思います」と宣言した。選手、スタッフへの「信頼」と「我慢」のタクトでリーグ連覇に導いた。日本一連覇を果たし、恩師に最高の報告を届けにいく。

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