高校通算88号は142.3m弾! 花巻東・佐々木麟太郎が巨人中田超え「記録は関係ない」

[ 2022年9月25日 21:31 ]

3回、右越え場外2ランを放った佐々木麟太郎(撮影・柳内 遼平)
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 今春選抜に出場した花巻東(岩手)が秋季県大会の準決勝に臨み、盛岡大付に7―6で競り勝ち、7年連続22度目となる東北大会(10月10日開幕、山形)への出場を決めた。佐々木麟太郎主将(2年)は「3番・一塁」で出場し、3回に高校通算88号の右越え場外2ランを放つなど2安打2打点。あす26日は岩手の頂点をかけて専大北上と決勝を戦う。

 岩手県営野球場の右翼席の奥に駐車していた花巻東の送迎バス。近くで座ってくつろいでいた運転手は「ドン!」という衝撃音に驚く。付近のイチョウの木の下に転がった白球。本塁からは142・3メートルもある(本紙計測)。「まさか、ここまで飛ばしたのか…」。場外弾と認識するまでには時間が必要だった。
 球場がどよめきに包まれた衝撃のアーチ。打ったのは佐々木麟だ。0―3で迎えた3回2死一塁。内角直球を振り抜くとバットを持ったまま打球の行方を追い、右翼芝生席を越えて場外に消えるまで見届けた。「自分の一打で流れをつくりたかった。攻撃のリズムをつくっていけたのはよかった」。歓声の中でベースを一周。盛岡大付が握っていた試合の流れは一変した。

 岩手を代表する強豪校対決。お互いに一歩も引かない接戦を決したのは怪物スラッガーの意地だった。6―6で迎えた7回先頭。遊撃へゴロを放ち、一塁への気迫のヘッドスライディングで内野安打とした。昨年12月に両肩を手術していたが「執念を出していきたかった」と迷わず飛び込んだ。その後、相手の失策の間に決勝点となるホームを踏み、父・洋監督は「何とか(塁に)出たい気持ちはみんなに伝わったと思う」と笑みを浮かべた。

 高校通算本塁打は88とし、大阪桐蔭・中田翔(現巨人)の87発を超えた。佐々木麟は中田に対し「憧れ、尊敬もあります」としたが「記録は関係なく、チームが勝つためのバッティングをしていきたい」と表情を引き締める。先輩である大谷翔平(現エンゼルス)、大船渡の佐々木朗希(現ロッテ)ら怪物たちの躍動を見届けてきた同球場は老朽化もあり、あす26日の専大北上との決勝が高校野球の主要大会ではラストゲーム。「最後に花巻東として感謝の気持ちを伝えていきたい」と特別な思いを胸に挑む。
(柳内 遼平)

 ☆飛距離測定 7月13日に行われた夏季岩手大会2回戦の花巻農戦で佐々木麟は右翼に特大ファウルを放った。その際、本紙記者とカメラマンが飛距離を計測。試合終了後、岩手県営球場近くの100円ショップで40メートルのひもと5メートルまで計測できるメジャーを購入。両翼91.5メートルの球場で、ファウル地域のフェンスを越えた地点を88メートルと推定。着弾点方向まで40メートルのひもを一直線に引っ張り、残りはメジャーで5メートルずつ測り、着弾した「155.5メートル」、転がった距離も含めた「171メートル」を算出した。今回は60メートルのひもとメジャーを購入。ポール際の打球だったため両翼の91.5メートルとフェンスから着弾点までの直線距離で切ったひもの長さを足して「142.3メートル」を導き出した。

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2022年9月25日のニュース