DeNA中井大介アナリスト 打者目線で“投高打低”分析「直球に力ある投手の傾向」「データレベルUP」

[ 2022年8月1日 17:00 ]

データ収集などの業務を行うDeNA中井大介アナリスト(球団提供)
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 昨季限りでユニホームを脱ぎ、新たなポジションで奮闘する人物がいる。現役時代は勝負強い打撃で存在を示したDeNAの中井大介氏(32)だ。情報解析が全盛の時代で重要度が増すデータ部門。縁の下の力持ちにスポットを当て、早くも4人の無安打無得点試合達成者が出ている今季の「投高打低」の傾向についても語ってもらった。

 現役生活14年。15年に巨人で4番も務めた実績のある中井氏は昨年に戦力外通告を受けると同時に「1軍ゲームアナリスト(スコアラー)」への着任を打診された。即答はできなかったが、周囲とも相談しながら「選手と距離も近く、いいなと思った」と振り返る。

 担当球団はなく、全試合チームに同行。主な仕事は他球団の投手分析だ。ベンチ裏の一室で対戦中の投手だけでなく、他チームなど幅広いデータ分析に時間をさく。まだまだ「手応えがなく力不足の日々」と苦笑いする。

 今季はここまで4度の無安打無得点試合が達成されるなど「投高打低」が目立つ。打線が売りのチームにとっては決して歓迎される傾向ではないが、6月7日の日本ハム戦ではエース左腕の今永が球団では54年ぶり4人目の無安打無得点試合を達成。「今永もそうだけど直球に力のある投手が内外角をうまく使う傾向がある。打ち取るためのデータも以前より相当レベルが上がっている。これはアナリスト共通の意見」と言う。

 中井氏の専門は「打者目線」の投手分析。自身が対戦経験のある投手も多く「引退したばかりで選手とコミュニケーションが取れるし、経験を伝えることはできる」と一歩一歩前に進んでいる。日々、やりがいも増しており「分析してやられっぱなしは悔しい。アドバイスした選手が結果を出すとうれしい」と目を輝かせる。

 「長く携わりたい。頑張って引き出しを多くしたい」と中井氏。ベンチでナインとともに喜んだり、悔しがったりすることはなくなったが、貴重な戦力としてチームを支える。
(大木 穂高)

 ◇中井 大介(なかい・だいすけ)1989年(平元)11月27日生まれ、三重県出身の32歳。宇治山田商では3年夏に甲子園出場。高校通算28本塁打。07年高校生ドラフト3巡目で巨人入団。15年に第83代4番を務め、17年に自身初の開幕スタメンを果たしたが18年オフに戦力外通告。19年にDeNAに入団し21年限りで現役引退。通算成績は506試合で打率・243、16本塁打、65打点。今季からDeNAのゲームアナリストに就任。

  ○…DeNAで中井氏と同じく昨季限りで現役を引退した笠井崇正氏(27)は今年から球団の経理部第一グループに所属。異例の転身となったが「経理部で、できることも増えてきました」と笑う。旭川西から早大に進学して野球部に入部も「勉強もしたい」とわずか2日で退部。その後に独立リーグ・信濃に入団し、16年に育成ドラフト1位指名を受けた。オフに簿記2級の資格も取得。異色のキャリアを持つ男は「球団内の動きを経理を通じて学べることはいい勉強になる」と語った。

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