日大三 スクイズで聖地!全6試合2桁安打計74得点の強打売りでも“イメチェン”小技で決勝点

[ 2022年8月1日 04:32 ]

第104回全国高校野球選手権西東京大会決勝   日大三6-2東海大菅生 ( 2022年7月31日    神宮 )

<東海大菅生・日大三>4年ぶり18度目の優勝を決め、喜ぶ日大三ナイン(撮影・藤山 由理)
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 第104回全国高校野球選手権大会(6日から17日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は31日、大トリとなった西東京決勝が行われ、日大三が東海大菅生を下して4年ぶり18度目の夏切符を手にした。強打を売りに夏は2度の全国制覇を果たしているチームが決勝点をスクイズで奪うなど“イメチェン”。これで真夏の聖地で頂点を争う全49代表が決まり、組み合わせ抽選会は3日に大阪市内で行われる。

 マウンドにできた歓喜の輪が解けた。その直後。笑顔だった主将の寒川忠(3年)が右手で顔を覆った。涙が止まらない。最後の夏で手にした聖地への切符。感情があふれた。

 「甲子園を目標にしんどい練習をしてきた。つらいこともあったんですけど、“やってきて良かった”という感情があふれました」

 伝統的な強打のチーム。今夏も全6試合で2桁安打の計74得点を挙げたが、最後は小技で決めた。東海大菅生に0―2とリードされて迎えた6回に同点とし、なお1死一、三塁で「9番・投手」の松藤孝介(3年)が打席へ。カウント1―1で小倉全由監督のサインはスクイズだった。きっちりと投前に転がして成功。相手の悪送球を誘い一塁走者も生還した。小倉監督は「自分はあまりスクイズはやらないが、投手の松藤で何とか点が欲しかった。よくやってくれた」と目を細めた。

 昨秋都大会準決勝では国学院久我山に3―14でコールド負け。メンバーはこの試合の反省文を書き、自分たちの野球を見つめ直した。この日の大一番で決めたスクイズも意識改革のたまもの。練習試合などでバントの成功率が低かったことで寒川が発起人となり、チームは4月から毎朝、バント練習をスタートさせた。寮生は午前6時に起床。約30分、カーブやスライダーに設定したマシンから来る球をひたすら転がし続けた。11年夏に全試合2桁安打を記録する猛打で甲子園を制した先輩たちに憧れて入学した面々が、大味だった野球を反省。まずは夏の西東京を制した。

 寒川は「あの(秋に国学院久我山に大敗した悔しい)気持ちがあったからこの夏に挑めた」と言葉に力を込め、聖地を見据えて言った。「緊張なんかしていられない。一戦一戦、悔いのないように戦いたい」。強打だけでなく、小技も兼ね備えた新たな日大三が、夏3度目の頂点を狙う。(田中 健人)

 《大会総得点60点以上が6度》日大三は01年以降に2度の全国制覇を遂げているが西東京大会優勝も10度。03~05年と11~13年の2度も3連覇を達成している。大会総得点を60点以上挙げた年が6度で04、05、09年の決勝は2桁得点をマークするなど強打が売り。今大会も01年以降では13年の75得点に次いで2番目の74得点を挙げた。

 ▽日大三の夏の甲子園優勝 01年、11年の2度。01年はチーム打率・427、7本塁打の猛打で6試合で50得点。通算90安打は歴代3位の記録。決勝は近江を5―2で下した。近藤一樹、千葉英貴、内田和也、都築克幸の4人がドラフト指名された。11年は高山俊、横尾俊建、畔上翔ら好打者がそろい、6試合で計61得点。決勝の光星学院戦は11―0と圧倒した。選抜は71年に優勝している。

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