ソフトB・黒瀬、支配下復帰4日目で決勝犠飛&初打点「本拠地で活躍したいという気持ちがより強くなった」

[ 2022年8月1日 04:45 ]

パ・リーグ   ソフトバンク4―2西武 ( 2022年7月31日    ペイペイD )

<ソ・西>和田(右)から育成時代の背番号126の数字を隠してもらい、新背番号12を披露する黒瀬(撮影・岡田 丈靖)
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 ニューヒーローに本拠地が沸いた。ソフトバンクの7年目、黒瀬健太内野手(24)が31日、西武戦に「8番一塁」でプロ初先発し、2回にプロ初打点となる決勝の左犠飛を決めた。3年目オフに戦力外通告を受け、育成から支配下復帰4日目、1軍3日目の初お立ち台で喝采を浴びた。チームは連敗を4で止め、首位西武とのゲーム差は0・5に接近。和田毅投手(41)は6月19日以来の先発で5回1失点に抑え、今季3勝目を挙げた。 

 夢にまで見た光景が黒瀬の目の前に広がった。プロ初先発でマークした初打点はチームの連敗を4で止める貴重な決勝打。ファームで過ごしたタマスタ筑後の日差しではなく、本拠地ペイペイドームのお立ち台でスポットライトを全身に浴びた。

 「最高です。結果が出ない自分でも7年間プレーさせてもらったホークスに感謝の気持ちを忘れず、恩返しできるように頑張ってきました」

 1―1の2回、無死満塁。カウント2―2からエンスのカットボールに「何とか食らいついて必死に打つことができた」と左犠飛。一塁ベース手前で思わず手を叩いた。

 28日に支配下に復帰したばかりだ。29日に出場選手登録され、30日に代打でプロ初出場。新背番号「12」のユニホームが間に合わず、育成時代の汗が染みついた「126」のままの出場している。右打者歴代最多の高校通算97本塁打を誇り、15年ドラフト5位で入団した右の長距離砲だが、度重なるケガもあり3年目オフに戦力外通告を受け育成で再契約。「(ファームでも)10打席くらいしかチャンスがなくて3軍に落ち、そのまま支配下登録期限が過ぎてしまうこともあった」。就寝時は不安に襲われ、気づけばバットを握っている日々。「不眠症にもなったし、メンタルはボロボロだった。野球は向いてないのかな…」。諦めかけた瞬間は数え切れない。

 抱え続けてきた「重荷」を取り払い「3軍に落とすなら落とせばいいし、クビにされるなら仕方ない」と腹をくくった今季。ウエスタン・リーグでは7本塁打をマークし、堂々の支配下復帰。ダイヤの原石が輝きだした。

 ルーキー時代から指導してきた藤本監督は「日々、成長しているので3軍時代からずっと見ているが、ここまでよく頑張った。またどこかで使います」とわが子を見つめるような表情で褒め称えた。

 強くなって帰ってきた7年目の苦労人は「たくさんの応援も聞こえたし、本拠地で活躍したいという気持ちが、より一層強くなりました」。まだ24歳。黒瀬の「第2章」は始まったばかりだ。(福井 亮太)

 ◇黒瀬 健太(くろせ・けんた)1997年(平成9)8月12日生まれ、大阪府泉南市出身の24歳。新家小1年から新家スターズで野球を始める。中学時代は貝塚ヤング(硬式)に所属し捕手。初芝橋本(和歌山)で内野手に転校し高校通算97本塁打をマーク。15年ドラフト5位でソフトバンク入団。17年秋にアジア・ウインターリーグのNPBウエスタン選抜に選出。1軍出場のないまま18年オフに戦力外通告を受け、背番号126で育成選手として再契約。今年7月28日に背番号12で支配下に復帰。同30日の西武戦に代打で初出場。1メートル82、99キロ。右投げ右打ち。

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