MLB、アリゾナのキャンプ地閑散 ロスから来たファン「我々の存在は彼らには関係ないのかな」

[ 2022年2月24日 05:30 ]

閑散としたエンゼルスのキャンプ地駐車場(撮影・笹田 幸嗣通信員)
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 1年前の2月24日、エンゼルスの大谷は実戦形式の打撃練習で97マイル(約156キロ)を記録して復活をアピールした。広島からポスティング移籍を決断した鈴木誠も例年通りなら今ごろ、新天地のユニホーム姿でオープン戦に備えていただろう。

 現在アリゾナ州のキャンプ地は閑散としている。同州テンピにあるエ軍の本球場ディアブロ・スタジアム正面入り口の横断幕は、いまだに「2021年」。大谷らの写真も昨年のままだ。ロサンゼルスから来た家族連れのファンは「キャンプが始まると信じて休みを取ってしまったので来た。我々の存在は彼らには関係ないのかな」と寂しそうだった。一方、州内の民間トレーニング施設は、ロックアウトにより球団施設で練習ができない選手でごった返している。エ軍のバッグを抱えた選手、マリナーズのTシャツを着た選手らが、早朝から汗を流す。

 現地では多くの予想が飛び交っている。シーズン中に選手も出演するポッドキャスト(音声公開サービス)では「開幕は4月中旬、150試合ほどの開催で減収分はポストシーズン枠を増やして補う」との見立てが伝えられた。SNS上では「02年同様、新労使協定締結を待たずに開催される」、「とりあえずロックアウトだけは今月中に解除される」などの臆測が出ている。

 「キャンプロス」はファンを失望させるだけでなく、キャンプ地の雇用減や減収など地域経済にも打撃を与えているのを肌で感じる。米国では野球を「ナショナル・パスタイム(国民的娯楽)」と呼ぶ。機構も選手会も自分たちの権利ばかり争うのではなく、人の痛みを感じてほしい。(笹田幸嗣通信員)

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