清原和博氏 人命救助時に名乗らず その後現場に到着した沖縄県警“スーパーマン”の正体知らず

[ 2022年2月24日 05:30 ]

PL学園の後輩・片岡2軍監督(左)を訪問した清原氏(撮影・成瀬 徹)
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 現役時代に西武、巨人、オリックスで通算525本塁打など活躍し、今年8年ぶりにプロ野球キャンプ地を訪問中の清原和博氏(54)が23日、沖縄・読谷村の中日2軍キャンプに向かう途中、那覇市内の交差点で交通事故にあって動けなくなっていた60代と見られる男性を救助した。16年2月に覚醒剤取締法違反で逮捕されて以降、命の尊さと向き合ってきたからこその行動だった。

 巨人キャンプ地・セルラースタジアムのすぐ近く、那覇市の国道58号線の明治橋で、レンタカーとバイクの接触事故があった。清原氏は知人の運転する車で読谷村へ向かう途上、その事故直後と思われる現場に遭遇した。そして倒れている人を確認するや、即座に下車して駆けつけた。

 バイクを運転していた60代と見られる男性は転倒して動けず「骨折している…」と苦悶(くもん)の表情を浮かべていた。レンタカーを運転していた20代と思われる女性は気が動転した状態だった。そこで清原氏は男性を肩に担いで近くの車の後部トランクに運び、安全を確保した。

 それだけではない。事故があったのは交差点のど真ん中。3車線の道路は大渋滞となった。そこで次に交差点の中央に立ち、後続車に向かって手を広げて交通整理までして、事態の収拾を図った。

 「男性が動けないくらいのケガをしていて危なかったので、運ばせていただきました。(後続の車を)運転していた方もびっくりされたんじゃないですかね。あまりにも大きな男が交差点のど真ん中に出てきて。みなさん協力的に止まってくれてよかったです」

 バイクは前輪が外れてペチャンコにつぶれていた。スーツ姿だった清原氏は降りしきる雨でズブぬれになってもお構いなしに、周囲に飛び散ったバイクの一部やゴミまで拾った。そして救急車が到着するまで見届けた。その間、およそ15~20分。いったんホテルに戻って着替え、午後1時到着予定だった読谷到着は午後3時ごろだった。

 救助時に名乗らなかったため、その後に到着した沖縄県警も、そのスーパーマンが「清原和博」だとは知らない。那覇署は「人身事故があった報告は受けておりますが、詳しいことは調査中です」とだけしか把握していなかった。

 22日は8年ぶりにプロ野球のキャンプ地を訪れ、中日1軍の北谷で若手を指導して注目を集めた。受け入れてくれた立浪監督にLINEで「今まで生きてきてよかった」とメッセージを送り、感謝したばかりだが、この日は人命を救助。苦しんで「死にたい」と思ったことを吐露したこともある清原氏ならではの行動だった。(畑野 理之)

 ○…清原氏は23日、読谷村の中日2軍キャンプを訪問し、PL学園の2学年後輩に当たる片岡2軍監督を激励した。「これまでの打撃コーチとは違い、2軍監督で視野も広くなっていると思う。いい顔をしている」。同学年の立浪監督同様、清原氏とは高校1年生から先輩後輩の関係が続いている片岡2軍監督も「昔話や懐かしい話など、いろいろな話をさせてもらいました。またナゴヤ球場にも来ていただきたいです」とこうべを垂れた。清原氏は24日、沖縄を離れる。

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