【惜別球人】楽天・南 巨人・松原と同期に「支配下の壁」

[ 2020年12月30日 05:30 ]

16年入団発表時の南
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 20代の若手も、40代の大ベテランも、現役を終えた後、さらに長い人生が待っている。今年は上下2回で掲載する年末恒例「惜別球人」の第2回は、パ・リーグ編。グラウンドで発揮したそれぞれの個性を生かすべく、新たな道へ踏み出す。

 戦力外通告から約2週間後の11月下旬。プロ野球選手ではなく、南は一人の野球ファンとして日本シリーズをテレビで観戦していた。画面越しにエールを送ったのは巨人・松原聖弥。大学の同期生で、野球人生の道しるべになってくれた盟友だ。

 「聖弥がいてくれたから、自分もプロ野球選手でいられた。“ありがとう”と言いたいですね」

 16年のドラフト会議で南は楽天の育成2位、松原は巨人の同5位で指名を受けた。晴れて2人で明星大から初のプロ野球選手になった。「聖弥を見に来たプロのスカウトの方が、僕も目に留めてくださったという話を聞いて。そこからプロの世界を意識し始めました」。希望を胸に飛び込んだプロの世界は想像以上に厳しかった。

 2軍調整中の1軍の主力選手と自分の実力差に衝撃を受け「支配下の壁を感じた」。一方、松原は支配下契約を勝ち取って階段を駆け上がっていった。「活躍はうれしかったけど、やっぱり悔しかった」というのが本音だ。

 会社員としてセカンドキャリアをスタートさせるべく、就職活動にいそしんでいる。「今年駄目なら野球はやめると決めていたので、悔いはない。今は楽しみしかないです。野球だけが人生じゃないということを見せたい」。野球で培った経験を糧にして、次のステージへと踏み出す。(重光 晋太郎)

 ◆南 要輔(みなみ・ようすけ)1994年(平6)8月7日生まれ、東京都出身の26歳。東海大菅生、明星大を経て16年育成ドラフト2位で楽天入り。イースタン・リーグ通算177試合に出場し打率・159、10打点、9盗塁。1メートル75、73キロ、右投げ右打ち。

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2020年12月30日のニュース