【あの人は今】元巨人の東海大甲府・仲沢広基コーチ 原監督のアドバイス胸にセンバツへ

[ 2020年12月30日 15:00 ]

練習を見守る東海大甲府・仲沢コーチ
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 来年1月29日にセンバツ出場の32校が選考委員会で決定する。東海大甲府(山梨)は守りの野球を武器に秋季高校野球関東大会で4強入りし、16年以来の出場が当確。公式戦8試合で6失策と固い守りには、今年4月に就任した仲沢広基コーチの存在が大きい。巨人、楽天で内野手としてプレーした経験を伝えている。

 終業式を終えた12月下旬、活気あふれる東海大甲府の野球部グラウンドで仲沢コーチはノックバットを振る。声を大にして呼びかけるのは基本の大切さだ。「プロでは1シーズン安定した守備を求められた。小手先じゃない基本を身につけてほしい」。鉄壁といわれた守備陣に更なるレベルアップを求め、思いを込めたボールを打ち込み続けた。

 東海大甲府では甲子園に2度出場。国際武道大を経て、08年にドラフト6位で巨人入り。同期で入団した大田泰示の存在(当時は内野手)もあり、2軍でも本職とする三塁を守る機会に恵まれなかった。一塁、二塁、遊撃と慣れないポジションでの奮闘を「いろいろなポジションを守れたことが今の指導に生きている」と振り返る。

 12年オフに楽天へトレードが決まった際、当時の巨人・原監督からメッセージを受けた。「巨人でやってきたことに誇りを持て。遠慮せず前に出て行け」。この言葉に奮起し、翌年は開幕1軍の座を掴み、念願のプロ初ヒットも放った。

 引退後はジャイアンツアカデミーのコーチを務め、高校時代の恩師・村中秀人監督からの誘いで、母校にコーチとして戻ってきた。新たな挑戦に原監督からは「とにかく謙虚に」と同じ指導者としてのアドバイスを授かった。教えを守り、プロで学んだ練習方法や技術を押しつけることはしない。「選手の感覚を一番大事にしている。“感覚が違ったらやらなくていいから”と常に言っています」と選手と一緒に答えを探す考えだ。

 「甲子園はもの凄く楽しい場所で、あっという間に終わってしまう。選手には目の前の1球に集中して、楽しんでほしい」。仲沢コーチは後輩たちが聖地で躍動する日に向け、熱い指導を続ける。

 ◇仲沢 広基(なかざわ・ひろき)1987年1月22日生まれ、山梨県出身の33歳。小1から野球を始める。東海大甲府では2、3年時に夏の甲子園に出場し、3年夏は「4番・三塁」で4強入りに貢献。国際武道大では大学日本代表を経験。08年にドラフト6位で巨人入りし、12年にトレードで楽天に移籍。14年に現役引退し、15年からジャイアンツアカデミーのコーチを務めた。通算14試合で2安打、1打点。1メートル81、80キロ。右投げ、右打ち。

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2020年12月30日のニュース