阪神・北川コーチ「まだまだ考えが甘い」、来季2年目の井上に期待のエール

[ 2020年12月30日 05:30 ]

来季2年目の井上に期待している北川コーチ
Photo By スポニチ

 阪神の北川博敏打撃コーチ(48)がスポニチ本紙の取材に応じ、来季2年目の井上広大外野手について言及。「まだまだ考えが甘い」など期待するからこそ、厳しい言葉を並べて、さらなる奮起を促した。また、ドラフト1位・佐藤輝明内野手の育成に重圧を感じていることも明かした。

 
 ――北川コーチの役割とは。
 「シーズンに入れば、僕もこんなにニタニタしている余裕はないと思う。こわばった顔をしている可能性もあるでしょうけど、何かしら刺激を与えられるような人間にはなりたい。キャラ的にバカもできるタイプなので、苦しい時にちょっとでも明るさというか、スパイス的な要素になれれば。あとは選手の能力を100%に近い形で出してあげられるような存在になりたい」

 ――北川コーチといえば勝負強い打撃が印象的。勝負強さを引き出すために必要な指導は何か。
 「勝負強さというのは、結局は技術じゃない部分だと思うのでね。思い切りの良さとか、結果を気にしないこと、いかに平常心でいられるかとか。タイガースはファンも多いし周りからの期待も普通のチームに比べたら大きいと思う。そのプレッシャーの中で平常心でやれるかが一番」

 ――精神面を鍛えるには何が必要か。
 「いかに練習で試合を想定してできるか。一球に対していかに試合と同じ気持ちで、できるかが大事。毎日ティー打撃して打撃練習をしてという中で、集中力というか、そこを持たせたまま、飽きさせないイメージで練習に取り組ませたいというのは考えています」

 ――井上が今年、伸びた部分と、来年期待する部分は。
 「パワーにしろ、持っているものはすごい。ピッチャーに対する考え方などは、まだまだですけど。センスというものを感じますし楽しみなのはすごくあります。スイング力、対応力というところを考えたときには、まだまだ1軍の投手に対して対等に戦えるレベルまでは達していないと思う。打者はタイミングと選球眼という二つがすごい大事。そこをもっともっと意識して、実戦に取り組んでほしいというのは本人にも伝えています。そこを意識してやっていけば、来春は楽しみだとは思います」

 ――オフシーズンも振り込みが重要。
 「そりゃ当然。本気でもっともっとね。形とかより振り込むことがすごく大事になってくるんで、スイング力というのを意識させたいなと思っています」

 ――井上に対して1年間、言い続けてきたことはあるか。
 「とにかく結果はいいからどんどんストライクを振っていくことを意識してくれとは言いました。手を出せないのが打者としては一番ダメなこと。振っていく中でタイミングも、選球眼も。ストライク、ボールの見極めもできていくと思うので、そこを一番意識していこうというのは言ってきました」

 ――今季は1軍でも安打、打点を記録。2軍でも9本塁打した。振る姿勢は良くなっていると感じるが…。
 「もっともっとできる選手だというイメージがある。僕の中で良くなったなという感覚は正直、まだない。もっともっと良くなるし本塁打ももっともっと打てたはずなんでね。僕も高い位置で彼のことを意識して見ているんでね。まだまだ、伸びる要素は当然ある。まだまだ考えも甘い」

 ――今季苦しんだ高山をどう見ているか。
 「今年、まともにしっかり見たんですけど、タイプ的にはインサイドの速いボールが打てないとか、そういう弱点みたいなのは本人も気にしていて、打つスタイルを変えている最中だった。オープン(スタンス)気味に構えて両目でしっかり見てというのを今は取り組んでいます。すごくバランスよく、感じよく振れているなと感じる部分が大きかった。本人にもしっくりきているのかなという話をしたら、左投手の方がいい形で見られるようになってきたという話をしていた。少しずつ新しい高山という形ができているのかなと思っています」

 ――常に1軍にいないといけない選手の一人だと思うが。
 「ポテンシャルは高い選手。1軍にいてほしいとは思いますけど、1軍は結果がすべて。少しでもいい結果が出る方法を模索して一緒にいいものをつくっていきたい」

 ――ドラフト1位・佐藤輝のイメージは。
 「今年、ファームで近大と練習試合をして、実際に間近で見ていたんでね。やはりパワーがすごい選手だなというか、スイングスピードも速いですし、大学生としてはずば抜けたスイング力を持っている選手だなというのは感じました。すごく楽しみですね。ただ、僕自身はすごく不安。ちゃんと育てられなかったら、結果を残せられなかったら、全部僕がたたかれると思うんでね。そういう意味ではプレッシャーとの戦いがすごくあります(笑い)」

 ――近本、大山に続く「第3の核」として期待する選手は。
 「期待する選手は、そりゃいっぱいいます。全員期待(笑い)」

 ――2軍から見ていて物足りないと感じた選手はいるか。
 「中谷、江越。陽川もですよね。この3人がもっともっと長打力も(発揮し)打点も挙げられるようになれば、すごく脅威なチームになるだろうなというのは思いますね。だから、ある程度レギュラーが確約されている選手以外ですよね。そこの底上げというのを僕がね。チーム力がすごく上がると思うんで。レギュラーを獲れるかどうかというぐらいの選手がいかにいい活躍をするかというのが。高山も含めてですけど。今年の若手で言えば小幡もそうですし、その辺がもっともっと底上げしていけば、すごくおもしろいチームになると考えています」

 ◆北川 博敏(きたがわ・ひろとし)1972年(昭47)5月27日生まれ、兵庫県伊丹市出身の48歳。大宮東―日大から94年ドラフト2位で阪神入団。00年オフに近鉄へトレード移籍。01年9月26日オリックス戦でリーグ優勝を決める代打逆転サヨナラ満塁本塁打。近鉄消滅に伴って05年からオリックス。12年引退。通算1264試合、打率・276、102本塁打、536打点。オリックス、ヤクルトでコーチを歴任し、今季は阪神で2軍打撃コーチ。来季から1軍担当。1メートル80、95キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2020年12月30日のニュース