ダル電撃トレードの裏側 カブスに借金、コロナ減収…サイ・ヤング賞2位で「売り時」

[ 2020年12月30日 02:30 ]

カブスからパドレスにトレードが決まったダルビッシュ(AP)
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 カブスのダルビッシュ有投手(34)は2対5の7選手が絡む大型トレードにより、パドレスに移籍することで両球団が合意したと28日(日本時間29日)、大リーグ公式サイトが伝えた。奥田秀樹通信員が大型電撃トレードの裏側を解説する。

 今季はコロナ禍によりメジャー全球団が減収に苦しんだ。カブスは1億4000万ドル(約145億6000万円)の損失があったとされる。来季も観客数の制限が予想され、同程度の減収が見積もられるが、カブスがこの数字以上に打撃を被ったのは、多額の借金を抱えているためだ。

 現在のトム・リケッツ・オーナーは09年に9億ドル(約936億円)でカブスを買収。さらに球団の価値を上げるべく、リグリー・フィールドの10億ドル(約1040億円)をかけた改修プロジェクトを7年がかりで進めてきた。おかげで球団の価値自体は今年4月の時点で32億ドル(約3328億円=フォーブス誌推計)に膨らんだが、借金は毎年、返済し続けなければならない。そこにコロナによる大減収。今年、球団はやむを得ず100人を超す職員を解雇した。

 加えて、19年のカブスは選手の年俸総額に2億4000ドル(約249億6000万円)を投じたが、それでもプレーオフに出られなかったことで、方針をドラフトと育成重視に転換した。その状況下でダルビッシュとの残り3年総額で5900万ドル(約61億3600万円)という契約が負担となったのは事実。サイ・ヤング賞投票で2位に入る活躍をしたことでトレード価値も上がり、「売り時」と判断された。

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2020年12月30日のニュース