大谷 7戦7勝無敵のリアル二刀流で首位奪回 22日にも初M灯

[ 2016年9月22日 05:33 ]

<ソ・日24>陽からウイニングボールを受け取る大谷

パ・リーグ 日本ハム2―1ソフトバンク

(9月21日 ヤフオクD)
 リアル二刀流は勝利のしるしだ。2位の日本ハムが21日、ゲーム差なしで迎えたソフトバンクとの福岡決戦第1ラウンドを制し、13日以来となる首位に立った。大谷翔平投手(22)が「8番・投手」で先発し、8回4安打1失点で7月3日以来、自身8連勝となる9勝目。今季、投打で出場した試合は驚異の7戦7勝だ。22日の第2戦に勝つか引き分ければ、4年ぶり優勝へのマジックナンバーが初点灯する。

 敵地でマイクを向けられた大谷は、声のトーンを強めた。「僕は優勝したことがないので、優勝して、みんなで喜べるように頑張りたい」。大一番で勝った。最後の最後は、凄いプレーも見た。陽岱鋼のスーパーキャッチ。グラウンドへ飛び出し、アイシングで動かせない右手の分まで左手を何度も突き上げ、雄叫びを上げた。興奮も手伝い、最終目標への思いを吐露した。

 シーズン最終盤で迎えた勝率3厘差の1、2位対決。「1番・投手」でプレーボール弾を放った7月3日と同じ、敵地ソフトバンク戦でDHを解除して先発した。「自分の出せるものは全部あそこ(マウンド)に置いていこうと思った」。初回から163キロを出し、アクセル全開だった。

 5回無死一塁で細川の投前バントを二塁に悪送球。今季初失策で一、三塁とピンチを広げ、1死後に本多に右前適時打を許して1点を失ったが、後続は慌てず封じた。112球を投げ8回4安打1失点。「投げている最中はあまり記憶がない」というほど集中力は研ぎ澄まされていた。あの7月3日以来、実に2カ月半ぶりの9勝目。首位返り咲きに大貢献した。

 投打同時出場。栗山監督は「(調整は)かなり無理をさせてきたけど、翔平ならできると思った」と、勝負どころで断を下した。右手中指のマメをつぶしたとはいえ、7月末から打者専念は1カ月以上も続いた。指揮官は大谷と何度も話し合いの場を持ち「投げたがっていたけど、“今は打者でいくぞ”と伝え続けた。春先からずっと“チームを優勝させろ”と言ってきた」。並行して2、3日に一度のペースでブルペン入り。2軍戦登板もなく、難しい調整だった。これが投手復帰3戦目。天王山初戦で死力を尽くそう――というプランに、大谷が応えた。

 負担を考慮され、打順は8番。「打席はあまり気にしていなかった」と言うが、6回には左翼線二塁打を放った。リアル二刀流は7戦7勝。チームを勝利に導く宝刀だ。

 4連勝で貯金30とし、いざ第2ラウンドへ。勝率5厘差から宿敵を突き放し、マジック点灯を狙う。「明日は打席に立って、ここ(ヒーローインタビュー)に戻ってきたい」と誓った大谷。指揮官は明言を避けたが、登板翌日に打者出場すれば新人だった13年以来だ。残り8試合。栄冠へ突っ走る。(柳原 直之)

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