陽岱鋼 危機救う好捕×2 7回ジャンプ&9回背走でキャッチ

[ 2016年9月22日 05:48 ]

<ソ・日24>陽からウイニングボールを受け取る大谷

パ・リーグ 日本ハム2―1ソフトバンク

(9月21日 ヤフオクD)
 耳をつんざくような大歓声。2―1の9回2死二、三塁。江川が大飛球を放つと誰もがソフトバンクのサヨナラ勝ちと思った。日本ハム・陽岱鋼は、諦めなかった。

 「打球が高く上がったので、(抜ければ)サヨナラの場面だったし、とにかくフェンスまで全力で走ろうと思った」

 江川が中前 打を放った場合に備え、逆転の二塁走者を本塁で刺そうと前進守備を敷いていた。長い長い距離を走り、迷いなく飛球を追尾し、フェンスまであと1~2メートルというところで後ろ向きのまま左手のグラブを伸ばした。捕った――。地元の鷹党は歓喜から一瞬にして沈黙に転じた。

 手負いの出場だった。8月16日のオリックス戦(札幌ドーム)の守備で外野フェンスに激突し、右肋骨が2本折れた。その後も出場したが、今月17日になって、自ら限界と判断し、首脳陣に欠場 を申し出た。

 骨はもう付いているが「痛み は残っている」。それでも栗山監督と話し合い、この大一番で復帰した。7回に代打出場し、その裏から中堅守備へ。いきなり、今宮の左中間を襲う飛球をフェンスに激突しながら好捕した。「岱鋼らしさは十分に出ていた。俺もしびれたが、選手もしびれていた」。痛みもブランクも感じさせないプレーに、栗山監督もうなった。

 大谷を下げた9回の守り。守護神不在の状況下、今季セーブなしのバースを登板させたが、1死二、三塁の大ピンチを招いた。ここで出たのが、19日ロッテ戦(札幌ドーム)でも2点差の9回2死満塁で吉川を救援した谷元。外野フライも許せない中で高谷を空振り三振に斬り、江川を打ち取った。1メートル67の小兵右腕は「前進守備だったので抜けるかと思った。きょうのヒーローは岱鋼」と控えめだが、指揮官は「谷元を抱きしめたよ」と2試合連続のスーパーリリーフを称えた。

 陽岱鋼が胸の周りをアイシングしながら言う。「ファイターズは優勝しか狙ってない」。2文字の共通言語が、ナインの気力を支える。(横市 勇)

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2016年9月22日のニュース