球児 最下位危機救った!圧巻3K斬り“苦手”敵地で火の玉さく裂

[ 2016年7月3日 06:38 ]

<神・中>8回に登板し、3奪三振と好投した藤川

セ・リーグ 阪神3―2中日

(7月2日 ナゴヤD)
 最下位転落の危機を救った。阪神・藤川球児投手(36)が2日の中日戦(ナゴヤドーム)で1点差の8回に登板し、3奪三振の好救援。この日ヤクルトが勝ち、もし敗れれば15年5月12日以来の単独最下位だった。苦手とする敵地で「火の玉ストレート」がサク裂した。頼れる右腕が、低迷するチームを再浮上させる。

 その右腕で、鬼門を突破した。藤川が3―2の8回に3番手で登板。不得手の敵地のマウンドで1死球を与えたものの、代名詞の「火の玉ストレート」を連発して主砲ビシエド、ナニータ、堂上から3奪三振。追いすがる中日打線を遮断した。

 「また、あした(3日中日戦)があるんでね」

 完全復活を印象付ける内容だった。1点リードながら、拙攻続きで主導権をつかみきれないまま終盤へ。打席には前夜、藤浪を事実上KOに追い込む3ランを放ったビシエド。自身も先発登板した3月27日(京セラドーム)に被弾し、過去2試合で2打数2安打の天敵だった。2ボール2ストライクからの6球目、勝負手はやはり「火の玉ストレート」しかない。この日最速の148キロを計測し、浮き上がる軌道で空振り三振に斬った。続くナニータも「火の玉」で空振り三振。福田に死球を与えたものの、最後は外角低め143キロ直球で、堂上のバットを凍らせた。

 本拠地・甲子園では10試合に登板し計10回無失点、防御率0・00を誇る。その一方で敵地のマウンドが鬼門だった。6月10日の日本ハム戦(札幌ドーム)では1点リードの9回、レアードに逆転サヨナラ2ランを被弾。6月24日の広島戦(マツダ)では同点の8回に新井に痛恨の2点適時打を浴び救援失敗。中継ぎ転向後の5月14日DeNA戦(横浜)から、戦前の過去7試合の登板で計5回2/3を投げ1本塁打を含む被安打11、8失点(自責7)、防御率11・12と苦しんだ。積み重ねた負のデータを払拭。金本監督も「ストレートでバシバシ、空振りを取っとったからね。休養も十分だったかな。それもあるだろうけど、割と安心して見ていられたね」と内弁慶の殻を破った右腕を称えた。

 反攻を期して臨んだ7月初戦をエース・藤浪で落とすなど悪い流れをせき止める好救援。この日ナイターで6位ヤクルトが勝った。チームはもし敗れれば15年5月15日以来、単独最下位となっていた。そんな瀬戸際で踏ん張った。首位・広島の背中はまだ遠いが、藤川は「関係ない」と言い切る。「自分たちのやるべきことをやるだけ。できないこともあるかもしれないけど、常に前向きにやっていくだけ。(ゲーム差は)全然、関係ない」。目の前の一戦を一つずつ勝ち抜く。逆襲を期す阪神には、頼れる背番号18がいる。(湯澤 涼)

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2016年7月3日のニュース