美技は不適切!?イチロー 当然キャッチ「厳しい目の方がいい」

[ 2016年6月7日 05:30 ]

<マーリンズ・メッツ>8回、遊撃内野安打を放つイチロー(AP)

ナ・リーグ マーリンズ1―0メッツ

(6月5日 マイアミ)
 マーリンズのイチロー外野手(42)は5日(日本時間6日)、メッツ戦に「1番・右翼」で3試合ぶりに先発出場し、華麗な守備で1―0の勝利に大きく貢献した。5回無死、右翼後方を襲う鋭いライナーをジャンピングキャッチ。周囲の賛辞をよそに本人は当然のプレーとし、「厳しい目」でのジャッジを求めた。また、バットでも1安打し、歴代最多ピート・ローズ(75=レッズなど)の4256安打に日米通算であと12本と迫った。

 打球への反応、落下地点の予測、打球を追うスピード、ジャンプのタイミング。全てが計算通りだった。0―0の5回無死。コンフォートが放った右翼への弾丸ライナーは、大リーグの計測システム「スタットキャスト」で102マイル(約164キロ)を記録した。イチローは背走しながら飛びついて捕球。そのままフェンスに両手で軽く触れてブレーキをかけた。背番号51はサラリと言った。

 「特別なプレーではないです。ちょっと余裕あるね」

 抜けていれば長打。マウンドのエース右腕フェルナンデスは、何度も帽子を取って日本式に感謝の気持ちを示した。ただ、次の打球に備えて平然とストレッチを繰り返す当人の目には映らず。「(投手を)見ないですから。だって特別なプレーじゃないし」。試合後も、報道陣を含め、好守を称える周囲の声に「人の目は勝手ですから。そこは優しい目ですよね。(もっと)厳しい目の方がいいと思います」と注文を付けた。

 7試合ぶりのマルチ安打を記録した先月31日パイレーツ戦。政治資金問題で渦中の舛添要一東京都知事の会見での発言をまねるように「第三者の厳しい目で見てもらったらいいと思います」と笑みを交えて繰り返した。周りの称賛の声に満足していては、それ以上の成長はない。だから、常に「厳しい目」で評価されることを求めている。

 42歳は同僚にも「厳しい目」を向ける。7回無失点、自己最多タイの14奪三振で球団タイ記録となる8登板連続勝利を挙げた23歳のフェルナンデスには「三振を取りたい子だから、6回で100球いっちゃう。エースは最低7回。本当は打たせてほしいけどね、もっと」と、より高い次元での安定感を求めた。

 打っても8回に遊撃内野安打を記録し、メジャー通算3000安打にあと34本。ローズの歴代最多安打までは日米通算であと12本とした。偉業へ着々と歩を進めるレジェンドは、決して「厳しい目」を裏切らない。(笹田 幸嗣通信員)

 ≪最近のイチ語録≫

 ☆「42歳とかいいし、もう。ほっとけや!やかましいわ!」(1900年以降では大リーグ史上初の、42歳で3試合10安打の固め打ち)=5月23日レイズ戦

 ☆「いや、もう、そりゃ、第三者の厳しい目で見てもらったらいいと思います」(3戦10安打の後、24打数1安打を経て7試合ぶりマルチ安打)

 「いやいや、それも含めて厳しい第三者の目で見ていただければいい…」(3回の15打席ぶりの安打に)=5月31日パイレーツ戦

 ☆「足し算くらいできますから。(家に)帰りたい」(日米通算700盗塁の感想を求められ)

 「僕はどれもできなきゃいけない選手。どれも気持ちいいですよ」(走攻守での活躍に)=6月2日パイレーツ戦

 ≪今月中にも日米通算4256安打だ≫イチローは今季、チームの約1.8試合あたりに1安打を記録。現在のペースなら今月中には日米通算でローズに並ぶ4256安打に到達しそう。この日休養を与えられた正右翼手の主砲スタントンは先月15日に右脇腹を負傷して以来、42打数4安打と大不振。正左翼手のイエリチも慢性の腰痛を抱えている。イチローは「第4の外野手」の立場は変わらないが、今後も先発出場が増える可能性は高く、さらなるペースアップも期待できる。

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