マー君 魂の138球!仙台開幕戦白星で飾った!

[ 2011年4月30日 06:00 ]

<楽・オ>1失点完投勝利の楽天・田中はガッツポーズ

パ・リーグ 楽天3-1オリックス

(4月29日 Kスタ宮城)
 震災から50日目、杜の都に歓声が戻った――。東日本大震災の影響で本拠地・仙台が被害を受けた楽天が29日、Kスタ宮城での本拠地開幕戦を白星で飾った。先発の田中将大投手(22)がオリックス打線を6安打1失点に抑え、完投で2勝目。138球の魂の熱投で被災者にメッセージを送った。また、この日はサッカーJ1の仙台もホーム初戦で浦和に勝利。東北の底力を見せた楽天と仙台が復興のシンボルとなる。
【試合結果】

 試合終了まであと1球。2点リードの9回2死二塁、前田大を2ストライクと追い込むと「田中コール」が起こった。マウンドの背番号18は、2万613人の観衆で埋まったKスタ宮城のスタンドを360度ゆっくりと見渡した。ずっとこの場所に立っていたかった。

 「これだけの方が集まってくれてジーンとした。投げ切ると終わってしまうのがもったいないなと感じた。もちろん、勝ちたいですけど、この空間にいることが野球人として幸せでした」

 138球目。フォークで投ゴロに。ジェット風船が舞う中、田中はグラブを軽く叩いた。

 一球一球にファンから声援が送られた。その声に後押しされ、初回から150キロを2球計測。ピンチを招くと、両親も訪れたスタンドからの声援は大きくなった。「声援がこれほど力になった試合はない」。8回に1点を奪われて、なおも2死二塁。T―岡田にフルカウントから、この日最速151キロの直球。ファウルにされた直後にスプリットで空振り三振に仕留め、雄叫びを上げた。

 3月11日の東日本大震災発生後は、野球選手として何ができるか考え続けた。チームが関西で募金活動を行う時には先頭に立った。兵庫出身の田中の人気は絶大。「チームに関西出身の選手は少ない。できる限りのことをやりたい」と義援金を呼び掛けた。

 8日には東松島市の避難所を訪問した。地震から4週間がたちながら、津波の爪痕がくっきり残る町に言葉を失った。「ユニホームを着たら野球に集中する」と言ったが、練習中にはその光景が頭をよぎることもあったという。「被災地で頑張っている人のことを考えれば、遠征生活なんてどうということはない。あの人たちのために勝つ姿を見せないといけない」。2月のキャンプから移動とホテル暮らしが続く環境にも、不満をこぼすことなく調整を続けた。そして、本拠地のファンに白星を届けた。

 チームは5月8日の母の日に、訪問した4カ所の避難所の中から母親と子供をKスタ宮城に招待する計画を進めている。楽天ナインはともに手を取り合い、前に進んでいく覚悟だ。重圧から解放された田中は「みんなプレッシャーがあったと思う。ぶっちゃけ、ホッとした」と試合後は笑顔をこぼし、星野監督も「あいつは重圧をエネルギーにしている」と称えた。

 ゴールデンウイーク初日。復興への道のりは長いが、東北新幹線が東京~新青森の全線で運転再開となるなど、徐々に「日常」も戻りつつある。Kスタ宮城に久々に響いた球音と田中の熱投は被災者の心に響いたに違いない。

 ≪田中 Kスタ宮城での初戦は負け知らず≫田中(楽)が1失点完投で今季2連勝。楽天のKスタ宮城でのシーズン初戦成績は4勝3敗となったが、田中は負けなしの3勝をマーク(他に岩隈が1勝)。内容も完投、完封、完投と責任を果たしている。またオリックス戦は日本ハム戦に次いで2球団目となる2桁の通算10勝目(3敗)。Kスタ宮城ではこのカード無傷の7連勝で防御率1・77と相性抜群だ。朴賛浩(パク・チャンホ)(オ)とは今季2度目の先発対戦でいずれも白星。田中が外国人投手と先発で対戦したのは通算22試合あって、勝敗がついたのは12試合。結果は11勝1敗と投げ勝つケースが多い。

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