中沢、負けても凄い!防御率リーグトップ

[ 2010年5月9日 06:00 ]

<中・ヤ>好投した中沢だったが、打線の援護なく、プロ初黒星を喫した

 【ヤクルト0―1中日】打球の行方を見送ったマウンドのヤクルト・中沢が、思わず両ひざに手をついた。9回2死までわずか1安打。だが、和田へ投じた初球137キロの直球が高めに浮いた。打球はバックスクリーンに吸い込まれた。チームは2試合連続サヨナラ負け。132球目で力尽きた新人左腕はプロ初黒星を喫した。

 「最後は甘かった。ちょっと高かったです。あそこであの球はダメだった。打たれるべくして打たれました」
 序盤は一発を警戒して際どいコースを突き、4回までに5四球を与えた。それでも、多彩な変化球で的を絞らせなかった。初回2死一、三塁のピンチは、和田を内角フォークで空振り三振。2回に英智に右前打を浴びただけで、孤独なマウンドで打線の援護を待った。
 4月23日の横浜戦(横浜)、5月1日の同戦(神宮)で白星を挙げ、過去2度ともチームの連敗を止めた。新人の初登板以来4連勝の球団タイ記録がかかったこの日も「苦しい時は逆に燃えます」と意気込んだ。しかし、味方打線が散発3安打では勝利の女神も味方しなかった。8回2/3を投げて規定投球回数に到達。防御率1・47はリーグトップに躍り出たが、素直に喜べない。女房役の相川は「あれだけの投球をして、最後が甘くなったとかそういうことは口にしたくない」と中沢をかばった。
 チームは今季ワーストの6連敗を喫し、08年9月以来の借金11。高田監督は「中沢はナイスピッチングだった。打線はつながれば点を取れるんだろうけど」と言い残し、会見を切り上げた。打線はリーグワーストのチーム打率・243。投打がかみ合わない最下位には光が見えてこない。

 ▼ヤクルト荒木投手コーチ 中沢はよく投げた。最後は本塁打だけはいけない場面だから、注意しろと捕手経由で伝えていた。

 ≪3被弾はすべて初球≫新人の中沢(ヤ)が和田(中)にサヨナラ本塁打を浴び、プロ初黒星。今季中沢の被本塁打は3本目になるが、3月30日中日戦のブランコ(初球先制2ラン)、4月6日広島戦のヒューバー(初球同点ソロ)、和田にも初球と3本とも1球目に喫している。それでもこの日で規定投球回に達し、防御率1・47でリーグトップに躍り出た。新人の最優秀防御率は99年上原(巨)が最後。ヤクルトでは72年安田だけだが中沢はどうか。

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2010年5月9日のニュース