これぞエース!ダルビッシュ勝利呼ぶ156球

[ 2010年5月9日 06:00 ]

<日・楽>9回を無失点に抑えたダルビッシュ

 【日本ハム1―0楽天】日本最高峰の投手戦に函館のファンは酔いしれた。日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)と楽天・岩隈久志投手(29)の今季2度目の直接対決は、ともに9回を無失点の好投。試合は日本ハムが稲葉篤紀外野手(37)のサヨナラ打で制した。また、中日―ヤクルト戦も新人と3年目による緊迫した投手戦。2試合の1―0サヨナラ勝ちは、82年8月8日以来、28年ぶりとなった。

 勝ち星がつかなくても気分が悪いはずない。ダルビッシュが今季最多156球で9回6安打無失点。ライバルであり、尊敬する岩隈と日本球界最高レベルの投手戦を演じ、一歩も引かなかった。だから、チームにサヨナラ劇を呼び込めた。
 「0―0で延長なんてめったにない。いい試合ができてよかった」。9回途中で右手人さし指をつるアクシデントも、マウンド上で指をストレッチして処置。「たまにあるし別に痛くない。それだけ力が入っていた証拠」。むしろ、全力を尽くしたと誇らしげだった。
 当初はツーシームやカットで球を動かし凡打の山を築く青写真だった。事実、4回まで2奪三振。ところが5回1死二、三塁のピンチで「あそこは三振を狙った」とギアチェンジした。聖沢を鋭く落ちるカーブ、内村は浮き上がる148キロ直球で連続三振に斬った。最速150キロの直球と95キロのスローカーブ。最大55キロの緩急差を駆使し、今季6度目の2ケタ11奪三振を記録した。
 5回以降は9三振を奪ったが、走者を背負った場面では7アウト中、6アウトが三振。岩隈との1点勝負を意識し、バットにも当てさせない配球に切り替えた。「岩隈さんがゴロ多かったし、これじゃ見ている人もつまらないと思った。まあ、そういうことにしてください」と冗談めかした。
 連続イニング無失点は20回に伸びた。1日の西武戦(札幌ドーム)のお立ち台で、インタビューを務めた函館出身の少年と、この試合でもヒーローになると約束。「この1週間、凄いプレッシャーだった」と告白したが、4年前の06年7月29日のソフトバンク戦では2回途中KOされた函館で、勝利に値する投球を見せた。「地方球場が苦手とか言われるが、ダルもそんなことを言い訳にしたくなかっただろう」と梨田監督も目を細めた。
 9日は交流戦前のラストゲーム。「この2試合を岩隈さんとマサオ(田中の愛称)から獲れればチームも勢いに乗れる」。壮絶な投手戦の主役を演じたエースの目は輝いていた。

 ▼日本ハム・宮西(延長10回を2三振の3者凡退に抑え、今季初白星)ダルの後はキツいっす。守備の時間を短くするのと、一発だけ浴びないように気をつけた。

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2010年5月9日のニュース