中西太さん孫も怪童!日大一・岩田3回無安打零封

[ 2009年7月15日 06:00 ]

<日大一・都桐ヶ丘>中西太氏の孫、日大一・岩田が先発し、1回1死、都桐ヶ丘・室井を空振り三振に抑える

 第91回全国高校野球選手権大会(8月8日開幕、甲子園)の地方大会は14日、33大会で300試合が行われた。東東京大会では元西鉄監督の中西太氏(76)の孫で日大一の岩田大輝投手(3年)が都桐ケ丘戦で3回を無安打に抑える好投。チームも16点を奪う猛攻で2回戦進出を決めた。また埼玉大会ではプロ注目の右腕・春日部共栄の中村勝投手(3年)が4回で11奪三振の快投を見せた。15日は31大会で246試合が行われる。

【試合結果


 【東東京・日大一16―0都桐ヶ丘】堂々たるマウンドさばきだった。祖父・中西太さんがスタンドで見つめる中、日大一の岩田が3回を無安打無失点。背番号11で昨夏はベンチにも入れなかった右腕が、本番で力を発揮するあたりに怪童の血筋を感じさせた。
 「序盤に力んでしまったので、外野を見て深呼吸して打者に集中しました。最後の夏なので気合を入れて悔いのないように投げました」
 強気に攻め続けた。「セールスポイント?内角の直球です」という通り、ややシュート回転する独特の球筋で右打者を8人並べた都桐ケ丘打線の懐に投げ込んだ。2回1死一塁の場面では狙い通りに投ゴロ併殺打。8―0とリードした3回の打席で代打を送られ“お役ご免”となったが、梅原監督からは「内容はまずまず。自信を持ってきているから楽しみ」と合格点を与えられた。
 そんな孫の雄姿を中西さんは応援席から少し離れた場所で静かに見守った。「先発することは知らずに来た。いい球を投げていたね」と目尻も下がる。試合前日には「今まで頑張ってきたのだ、結果を恐れず思い切り戦いなさい、仲間と助け合い努力してきた事が財産。これから人生に生かしなさい。何苦楚」(原文のまま)とメールを送った。自宅前の狭い道路で一緒にキャッチボールをした孫が、今まさに甲子園を懸けて一生懸命戦っている。その姿をしっかりと目に焼き付けた。
 日大に進学予定の岩田だが「祖父にはまだ報告してないですけど、今のところ野球はやるつもりはないです」という。野球を続けるのもあとわずか。その中で祖父の座右の銘である何苦楚(なにくそ=何事も苦しむことが楚なる)を自分なりに体現する。

 ◆中西 太(なかにし・ふとし)1933年(昭8)4月11日、高松市生まれの76歳。高松一から52年に西鉄入り。怪童の呼び名で知られ、53年8月の平和台球場での「160メートル弾」など数々の伝説を残した。通算1388試合、打率・307、244本塁打、785打点。引退後は西鉄、日本ハム、阪神などで監督、コーチを長く務め数々の強打者を育て上げた。タイトルはMVP1回、本塁打王5回、首位打者2回、打点王3回。99年に殿堂入り。

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