花巻東 菊池12K完封!春最速152キロ

[ 2009年3月26日 06:00 ]

<花巻東・鵡川>9回1死一塁、久野を空振り三振にしとめた花巻東・菊地はガッツポーズ

 第81回選抜高校野球大会第4日は、1回戦3試合が行われ、第2試合で花巻東の菊池雄星投手(3年)がセンバツ左腕史上初となる152キロをマーク。8回2死まで完全、9回1死までノーヒットに抑える好投で、昨秋明治神宮大会4強の鵡川(北海道)を完封した。メジャーを含めたプロ球団のスカウト陣も絶賛で、今秋ドラフトの最大の目玉となるのは必至。他には南陽工(山口)、明豊(大分)が2回戦進出を決めた。

 スタンドがかたずを飲んで見守った。1本の安打も許さずに迎えた9回1死。菊池が投じた101球目の直球が左前に運ばれた瞬間、新装された銀傘に落胆と歓喜がこだました。04年のダルビッシュ(東北)以来13人目となるノーヒットノーランにあと2人までこぎつけながら偉業を逃したが、落胆の色はなかった。
 「できるような投手じゃないので別に気にしてませんでした。でも、9回にスコボードの0を見て、さすがに力が入った。チームが勝てるピッチングができたので100点をあげていいと思います」
 5回2死から阿部康に投じた外角高めの直球は電光掲示板で150キロ、阪神スカウトのスピードガンでは152キロを記録し、センバツ左腕史上初の150キロ超えを果たした。その後8回2死まで完全投球を続け、阿部康への四球で初めて走者を許した際も甲子園がどよめいた。「ベンチに戻ったら150キロ出てたと言われたんですけど、ボールだったのでうれしくない」。最終的に2安打を許したが、12奪三振と圧巻の投球だった。
 この日の快投は、WBC決勝の日本代表・岩隈(楽天)の投球がヒントになった。「内野ゴロを打たせるのを見て、あらためて低めに集めるのが大事だなと。きのうテレビを見てなかったら結果は違ったと思います」。通常は直球の割合が約70%を占めるが、この日は113球中スライダーを54球も投げ、そのほとんどを低めに集めた。アクシデントもプラスに変えた。実は初回の投球練習中に左足首と左ふくらはぎが痙攣(けいれん)した。「やばいと思ったんですけど、力入れて投げると痛いので力を抜いたのが逆によかった」と“ケガの功名”に笑った。
 この日はネット裏に国内12球団、メジャー3球団のスカウト陣が集結。日本ハムの今成スカウトは「30年ぐらいスカウトをやってるけど、ダルビッシュを見たときと同じインパクト。アマNo・1なのは間違いない」と最大級の評価を口にした。
 岩手県勢としては25年ぶりのセンバツ勝利。昨秋に関東の高校に練習試合で連勝した際「岩手の高校に負けやがって」と相手監督が選手をしかっているのを耳にしたという。「岩手はなめられてるので勝ってよかった」。これからは、もうそんなセリフは吐かせない。

 ◆菊池 雄星(きくち・ゆうせい)1991年(平3)6月17日、盛岡市生まれの17歳。見前小3年で野球を始め6年時に全国大会出場。盛岡東シニアでは東北大会で準優勝し、東北選抜にも選ばれた。高校入学後1年夏に甲子園に出場。1回戦の新潟明訓戦で5回1失点ながら敗戦投手となった。1メートル84、81キロ。左投げ左打ち。

 ≪鵡川 脱帽…佐藤監督「力負け」≫チーム打率・342の強力打線が完全に封じ込められた。今大会最年長68歳の佐藤監督は「想像を超えていた。力負け。例え狙い球を指示していても結果は同じだった」とただただ脱帽するしかなかった。2三振の体重106キロの森主将は「テンポがよくて自分の間合いで打席に入れなかった。あっという間に9回だった」と涙に暮れた。

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2009年3月26日のニュース