高橋「ちょっとビックリ」男子SP歴代2位95・55

[ 2013年11月9日 06:00 ]

髪を逆立て華麗な演技を見せる高橋

フィギュアスケートGPシリーズ第4戦 NHK杯第1日

(11月8日 東京・国立代々木競技場)
 エースの輝きが戻ってきた。男子ショートプログラム(SP)が行われ、高橋大輔(27=関大大学院)が自己ベストで世界歴代2位の95・55点で首位発進。10月のスケートアメリカでは4位に終わったが、4回転トーループを決めるなど復調をアピールした。織田信成(26=関大大学院)は82・70点で3位、無良崇人(22=岡山国際リンク)は79・97点で5位だった。

 演技が終わっても笑みはない。気合がこもった表情でガッツポーズを見せた高橋が、得点を待つキス&クライでようやく笑った。自己ベストを1・55点更新する95・55点は、世界歴代2位のハイスコア。「95点はちょっとビックリした。点数を出してもらえてプラスになる」。4回転トーループを鮮やかに成功し、自慢の表現力でもライバルを圧倒した。

 10月のスケートアメリカは、SP5位から巻き返せずに4位止まり。フリーではループやサルコーという、高橋にとっては簡単なジャンプでミスが出た。大会後、モロゾフ・コーチは激高した。「あんなジャンプは簡単だろ。ミスするのはダイスケ・タカハシとしてどうなんだ!本当に五輪に行きたいのか!?」。厳しい言葉を神妙な面持ちで受け止め、ハートに火が付いた。

 スケートアメリカで優勝した町田と差を感じたのは、五輪への意識の差だった。「五輪に向けて気持ちが弱いと感じていた」と振り返り、今大会に向けてジャンプを中心に一心不乱に汗を流した。「前向きにガムシャラにやった。頭で考えることはしなかった」。雑念を捨てた後、よみがえった夢舞台への熱い思いが高得点につながり、モロゾフ・コーチは涙を流した。

 今季SPは広島出身の被爆2世で聴力を失った佐村河内守(さむらごうち・まもる)さんが、義手でバイオリンを奏でる少女に贈った「バイオリンのためのソナチネ」。表現するのは悲壮感漂う曲調の中にある希望だ。自信を取り戻すことを目標に据える今大会。SPを終え、希望の光が差し込んできた。「あした(9日)できれば自信になる。気を引き締めてやりたい」。フリーでも好演技を見せた時、日本男子のエースが完全に復調する。

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2013年11月9日のニュース