真央ファイナルほぼ手中 スケートアメリカよりレベルアップ

[ 2013年11月9日 06:00 ]

華麗な演技を見せる浅田

フィギュアスケートGPシリーズ第4戦 NHK杯第1日

(11月8日 東京・国立代々木競技場)
 進化した「ノクターン」で好発進だ。女子ショートプログラム(SP)で浅田真央(23=中京大)が、71・26点をマーク。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は両足着氷で、3―2回転のコンビネーションでは回転不足もあったが、10月のスケートアメリカ後に手直しした「ノクターン」で高い表現力を見せつけた。鈴木明子(28=邦和スポーツランド)は66・03点で2位、シニアのGPシリーズにデビューした宮原知子(15=関大高)は58・39点の6位と出遅れた。

 右腕をスラリと伸ばしてフィニッシュした浅田が、1度うなずき柔らかく笑った。10月のスケートアメリカSPの73・18点より低い71・26点でも、満足感があった。「スケートアメリカよりレベルアップしたと自分で思えたので、“よし”って思った」。冒頭のトリプルアクセルは両足着氷、ループの3―2回転は回転不足。ジャンプで減点はあったが、3度のスピンとステップは全て最高難度のレベル4を獲得した。

 技術以上に光ったのが表現力だ。スケートアメリカ後にカナダに渡り、SPを振り付けたローリー・ニコル氏とプログラムの手直しを行った。よりダイナミックに舞うだけではなく、「初恋」というテーマに「自然」もプラス。この日は、ニコル氏の自宅周辺の湖や山をイメージしながら滑った。「きれいなノクターンを見せられた」。5項目の演技点の34・37点は、スケートアメリカの34・33点を上回る自己ベスト。SPの自己ベスト75・84点を出した09年世界国別対抗の演技点は31・44点で、浅田の表現力は集大成のシーズンにピークを迎えている。

 大技は絶好調だった。前日(7日)は回転が抜けるシーンがあったが、この日の朝の公式練習で3度クリーンに着氷。演技直前の6分間練習でも軽やかに決めたものの、佐藤信夫コーチ(71)は不安を抱えていた。「調子がいいと逆に怖い。調子が悪いとたくさん言うこともあるけど、いい時は言う言葉が難しい。いつもドキドキですよ。繊細な競技ですから」。名伯楽のわずかな疑念が的中したが、浅田は「アクセルはまあ、時にはこういうこともある」と余裕の笑みだ。

 9日のフリーを終え表彰台に上れば、12月のファイナル進出が決定。「自信を持って臨みたい」と言う4分間の目標は、スケートアメリカで転倒した大技だけではなく、2戦連続失敗中のフリップとループの3―3回転、ダブルアクセル―3回転トーループの成功だ。ただ、今大会に向け、連続ジャンプを重点的に練習したわけではない。「偏った練習をすると故障する。練習は満遍なくやっています」と佐藤コーチ。もう怖いものは故障だけ。ソチ五輪金メダルへ、浅田はかつてない順風の中にいる。

 ▽GPシリーズ 6大会行われ、選手は2大会にエントリー。各大会の1位に15点、2位13点、3位11点、4位9点、5位7点、6位5点、7位4点、8位3点のポイントが与えられ、合計ポイント上位6選手がファイナル(12月5日開幕、福岡)に進出。昨季のファイナル進出ラインは男子が24点、女子が22点だった。

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2013年11月9日のニュース