常総学院 エース小林完封で大トリ初戦突破 元横浜・島田監督直伝カットボールさえた9K

[ 2024年3月26日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第6日・1回戦   常総学院1―0 日本航空石川 ( 2024年3月25日    甲子園 )

<日本航空石川・常総学院>9回、最後の打者を併殺に打ち取り雄叫びを上げる小林(撮影・奥 調)
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 1回戦1試合、2回戦2 試合が行われた。1回戦最後の登場となった常総学院(茨城)は、プロ注目の最速149キロ右腕の小林芯汰投手(3年)が日本航空石川を相手に1―0の完封を達成。投手としてプロでも活躍した島田直也監督(54)直伝のカットボールを軸に9三振を奪った。2回戦は星稜(石川)が八戸学院光星(青森)に競り勝ち、阿南光(徳島)は熊本国府を下して、ともに8強進出を決めた。

 一打同点のピンチでも心は決まっていた。「この球で打たれたら仕方ない」。1―0の9回1死一、三塁。小林は最後の打者を磨いてきたカットボールで遊ゴロ併殺に斬り、何度も右拳を握った。37年前の夏、同じエースナンバーの背番号1をつけ準優勝した島田直也監督の前で、被安打5の完封劇を演じた。

 「投手としても尊敬していますし、特にスライダーが凄いので積極的に教わりました」

 横浜(現DeNA)時代の97年には最優秀中継ぎ投手にも輝いた指揮官直伝のカットボールがさえまくった。「スピードを上げて空振りを奪える球にしたかった」とオフはスライダーを改良。指揮官からも握り方など多くの助言を受け、球速が約5キロも上がったカットボールへと進化した。「絶対的な球になった」という新球種を携え、満を持して立った自身初となる聖地のマウンド。破壊力は抜群だった。

 前日まで2日連続の順延で、この日も小雨が降る悪条件だったが、5回まで毎回奪三振。「空振りを狙う時は、より手元で曲げるため腕を高くしていた」とわずか3ミリだが状況に応じて器用に腕の位置を変え、9三振中、実に8個をカットボールで奪った。87年夏の準優勝投手の島田監督も「今日は小林に尽きます」と最敬礼。小林も「少しですが監督さんに近づけましたかね」と笑みがこぼれた。

 今後も雨天順延が入れば過密日程となる可能性が高いが、小林は「目標は日本一。それまで投げ続けます」とエースの覚悟を示した。心に決めている。尊敬する指揮官に、頂点からの景色を見せる。(村井 樹)

 ◇小林 芯汰(こばやし・しんた)2006年(平18)12月8日生まれ、栃木県栃木市出身の17歳。三鴨小1年から藤岡学童クラブで野球を始める。藤岡第一中では佐野リトルシニアに所属。常総学院では1年春からベンチ入りし、昨秋から背番号1。50メートル走7秒2、遠投120メートル。憧れの選手はドジャース・山本。1メートル80、82キロ。右投げ右打ち。

 ≪30年ぶり春完封勝利≫常総学院が1―0で初戦を突破した。常総学院の選抜完封は準優勝した94年の高知商戦以来30年ぶり。1―0勝利は93年夏の鹿児島商工戦以来2度目、選抜では初めてとなった。

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