広陵が快勝発進 プロ注目の高尾が吉兆!!の3季連続完投勝利 03年優勝の西村健太朗以来

[ 2024年3月22日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第4日   広陵3-1高知 ( 2024年3月21日    甲子園 )

<高知・広陵>広陵・高尾(撮影・中辻 颯太)
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 春4度目の頂点に向けて、好スタートだ。昨春4強の広陵(広島)が高知(高知)との1回戦に3―1で快勝した。プロ注目の最速148キロ右腕・高尾響投手(3年)が5安打、11奪三振で1失点完投勝利。甲子園大会では2年春から3季連続完投を達成した。

 広陵の高尾は、甲子園に戻ってくるたびに進化している。6度目の甲子園登板で自己最多を更新する11奪三振を数えた。「去年より直球、スライダーはレベルアップしている」。奪三振の結果球は、直球4、スライダー5、スプリット2。磨いてきた得意球を中心に攻め続け、初出場だった2年春から3季連続完投を達成した。

 昨夏の甲子園から投球フォームが変わった。無走者時に、脱力するかのように左足をゆっくりと上げるようになった。「並進運動(軸足で立ってから踏み込み足が地面に着く直前までの動き)の時に加速をつけたくて足をゆっくり上げると、直球もスライダーも質が良くなった」。雪もちらつく過酷な環境で成長を示したのが2―0の8回だ。1死三塁を招いた場面で、最速となる145キロを計測。その後に捕手・只石貫太の悪送球で失点したが、「打たせるのではなく三振を取る」とスライダーで空振り三振、次打者は1ボールから内角直球で三邪飛に仕留めて切り抜けた。

 力加減の大切さは、話題の広陵OBが教えてくれた。昨年末、母校の練習に参加していた今秋ドラフト1位候補の明大・宗山塁(4年)と真剣勝負をする機会があった。その1打席目、軽々と右翼への柵越えを許した。なぜ捉えられたのか。先輩の助言は的確だった。「抑えようと力が入ったままの投手は打ちやすい。どれだけ力を抜き、投げる瞬間にだけ力を入れられるかだよ」。新フォームでは、脱力しながら左足を上げる。負けん気の強さを持ち味とする右腕が、新たな一面を備えて聖地に戻ってきた。

 甲子園3季連続完投は、OBの有原航平(現ソフトバンク)や野村祐輔(現広島)らも達成できなかった。自校で前回達成した西村健太朗(元巨人)は、3度目の甲子園だった3年春の03年選抜で優勝。「去年の甲子園は春も夏もあと一歩で負けた。選抜の優勝だけを目指しています」。03年以来の甲子園Vへ、高尾が吉兆の3季連続完投で勢いづけた。 (河合 洋介)

 ◇高尾 響(たかお・ひびき)2006年(平18)5月22日生まれ、福岡県粕屋町出身の17歳。粕屋東中では飯塚ボーイズに所属して投手兼二塁手。広陵では1年春の中国大会から背番号1をつけ、2年春から3季連続で甲子園出場。50メートル走6秒5、遠投120メートル。1メートル72、73キロ。右投げ右打ち。

 《14年夏から15年夏の敦賀気比・平沼以来の3季連続完投》
 ○…広陵・高尾が昨春、昨夏に続く完投を記録。甲子園大会で3季連続完投は、敦賀気比・平沼翔太が14年夏から15年夏にかけて記録して以来。
 ○…広陵・中井哲之監督は選抜通算24勝目。阪口慶三監督(東邦15勝、大垣日大9勝)に並ぶ歴代4位。
 ○…甲子園大会の広陵VS高知は08年夏の1回戦に続き2度目で、前回も広陵が8―5で勝利。

 《プロ注目の捕手・只石が好リード》主将でプロ注目の捕手・只石が高尾を好リードした。「コントロールが良かったし、真っすぐの切れもあった。調子良いんじゃないかと感じていました」。4番打者としても4回1死三塁からワンバウンドで左翼席に飛び込むエンタイトル二塁打で貢献。ただ、8回の守備では飛び出した三塁走者を刺そうとした悪送球が失点につながり「もっとキャッチボールから意識してやりたい」と反省を忘れなかった。

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