【筑後鷹】ドラ6大山凌 小6で工藤公康氏から「大学で150キロ」と予言を受けた反骨の153キロ右腕

[ 2024年3月19日 06:00 ]

ソフトバンク・大山(撮影・岡田 丈靖)
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 ソフトバンクのドラフト6位、大山凌投手(21=東日本国際大)は最速153キロの直球と多彩な変化球が武器の右腕だ。2月27日にあったロッテとの練習試合で1回2奪三振無失点に抑えるなど、1軍で通用する力を見せた。そんな背番号53を突き動かすのは、小学時代に西武、ダイエー、巨人などで224勝を挙げた元ソフトバンク監督・工藤公康氏(60)からかけられた“予言”と、中学時代に芽生えた反骨心だった。

 球春の宮崎で得た学びを胸に、大山は筑後市のファーム施設で腕を振っている。春季キャンプは主にB組で過ごしたが、1軍主体のA組にも参加。アーリーワークで感じた「一人一人、時間を無駄なく有効活用していた」という1軍選手の意識の高さは指標になった。

 対外試合にも登板した。先月27日のロッテ戦では山口、安田ら1軍経験豊富な面々と対戦。2死から安打と四球でピンチを招いたが、松川を三振に抑えた。無失点で抑えたことを収穫に挙げ「ストレートの抜けが目立つところが直れば、もっと良くなってくる」とさらなるレベルアップを目指している。

 1メートル79、77キロの投手・大山をつくったのは、中学時代に在籍した栃木下野リトルシニア時代だ。「(体格は)まさに小枝のような感じで。背も小さかった」。最速は120キロに届くかどうかで、球の速い投手とは20キロほどの差があった。「その中で生き残るには、コントロールが必要だった」。基礎に徹底して取り組み、制球の良さが身についた。

 中学3年時には全国大会に出場。決勝があったのはヤクルトの本拠地・神宮だった。ベンチ入りし、チームは日本一に輝いたが、自身はチーム内の立ち位置などもありブルペンにも行けず、歓喜の瞬間を迎えた。「その時の悔しい気持ちがずっと残っていて。何かしらの反骨心みたいな」と大山を動かすエンジンの一つになっている。

 大投手にかけられた“予言”のような言葉も忘れられない。小学6年時に工藤公康氏から助言を受けたことがある。練習をチェックしてもらい、「高校に上がったら140キロは出る。大学に進んでちゃんと食べて鍛えたら150キロは出るようになる」と背中を押された。徐々に体格が大きくなりながら高校では140キロ台、大学では150キロ台と本当に球速が伸びた。東日本国際大の3年時は全日本大学選手権に出場し、先発、救援とフル回転して4強入りに貢献。神宮でも結果を残して、中学時代のリベンジを果たした。

 同期入団のドラフト2位・岩井(名城大)は1軍のオープン戦で好投しており、救援陣の一角を狙っている。先発のポジションを狙う大山と立場は違うが、「いい意味で意識しながら、どんどん自分もレベルを上げてやることをやりたい。1軍に上がってもすぐ落ちたら意味がないので」と言った。冷静な視野も持つ背番号53は、虎視眈々(たんたん)と準備を進める。 (杉浦 友樹)

 ◇大山 凌(おおやま・りょう)2002年(平14)3月27日生まれ、栃木県出身の21歳。白鴎大足利では高3夏の県大会1回戦敗退など、甲子園出場なし。東日本国際大では3年春に全日本大学選手権に出場して4強入りに貢献した。野球は練習場で出し切り、寮生活には持ち込まないがモットー。背番号53。1メートル79、77キロ。右投げ右打ち。

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