下関国際が見せた「確率0・01%」のバックアップの重要性

[ 2022年8月27日 14:55 ]

フライ捕球の際、落球に備え守備位置が近い選手が腰を低くしてグラブを出す下関国際の守備
Photo By スポニチ

 ぜひ、全国の少年少女に真似をしてほしいと思った。第104回全国高校野球選手権で準優勝に輝いた下関国際(山口)の守備だ。試合中、フライを捕球しようとする者の後ろで、必ず守備位置が近い誰かが“落球する”ことを前提に、腰を低くしてグラブを出している。

 バックアップに入るように指導されるのは一般的だが、ここまで徹底しているチームはない。49代表どころか、地方大会でも見たことがなかった。その意図を、U18日本代表にも選ばれた仲井慎(3年)は決勝前日の取材でこう説明してくれた。

 「練習の中でも、もし何千回分の1か何万回分の1かもしれないですけど、カバーしてアウトにできれば同じアウトなわけで、練習の中でもフライで全員が集まってカバーをしています」

 大阪桐蔭を撃破した準々決勝の5回2死一、二塁の守備。最終的には決勝打を放つ一塁手の賀谷勇斗(3年)がフライを落球した場面があった。この時は二塁手の松本竜之介(3年)と、遊撃を守っていた仲井も加わり2人態勢でバックアップ。ボールが下に落ちただけで、あらぬ方向に飛んでいくことはなかったが、もしもこれがグラウンドを転々として、一塁走者や打者走者までも生還させていたら……。勝負に“もしも”はないが、下関国際の準優勝も、仙台育英の優勝もなかったかもしれない。

 0・1%、0・01%の予期せぬ事態に備える重要性。準優勝という輝かしい成績以外にも、下関国際が聖地で残したものは大きい。(記者コラム・北野 将市)

続きを表示

2022年8月27日のニュース