「雪上ノック」「雪かきトレ」東北の豪雪も工夫した練習法で強化 04、05年夏連覇の駒大苫小牧刺激に

[ 2022年8月27日 04:00 ]

室内で練習する仙台育英ナイン
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 東北では「雪国のハンデ」と言われ、冬場に十分練習できないことが甲子園で優勝できない理由と語られてきた。だが近年は施設の充実と、工夫した練習方法で克服。東北の指導者の意識を変えるきっかけとなったのが、04、05年夏に連覇を達成した駒大苫小牧(南北海道)だ。

 雪深い地域のチームも優勝できることを証明した。当時監督だった香田誉士史氏(51=現西部ガス監督)は「“北海道は仕方ないんだ”という常識、決めつけていることに、歯がゆさからの抵抗だった。どこも劣っていないし、ハンデもない。強引にでもやりたかった」と振り返る。その「雪が降れば練習はできない」という常識を破る試みの一つが、深い雪がかぶるグラウンドでの「雪上ノック」だった。

 駒大苫小牧の優勝で、「雪国を言い訳にできない」という意識が植え付けられた。雪の上でも「どうすれば練習ができるか」という学校が増えた。今春選抜に21世紀枠で出場した県立の只見(福島)も豪雪地域だが、冬場の雪かきをトレーニングと捉え、下半身を鍛えた。ボールが使えない学校駐車場での打撃練習はバドミントンのシャトルを打って、打撃を磨いた。福島県高野連の木村保理事長(52)も「工夫して続ければ、甲子園に出られるチャンスが来るという姿を甲子園で見せてくれた」と言う。

 強豪私学は施設の整備で対応していった。今夏も4強入りした聖光学院(福島)や青森山田といった強豪校は室内練習場がある学校も多く、冬の練習にも対応できる。仙台育英も室内練習場に加え、多賀城校舎のグラウンドは13年に土から全面人工芝に張り替えられた。土に比べて雪が乾くのが早い。指導者の変化と創意工夫、施設整備で東北に根強くあった「雪国のハンデ」の意識を取り除き、東北野球のレベルアップの一因になった。(高校野球取材班)=終わり=

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2022年8月27日のニュース