広島ドラ6・末包 開幕戦3安打デビュー 球団新人史上3人目の快挙「記録に名前残せて光栄」

[ 2022年3月26日 05:30 ]

セ・リーグ   広島11ー3DeNA ( 2022年3月25日    横浜 )

<D・広1>2回、適時打を放ちガッツポーズの末包(撮影・島崎忠彦)
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 広島のドラフト6位・末包昇大外野手(25)が25日のDeNAとの開幕戦で、決勝の先制打を含む3安打1打点で鮮烈デビューを飾った。開幕スタメンでの初打席初安打初打点は、球団新人では61年山本一義以来61年ぶり。さらに球団新人の開幕戦3安打は58年古葉毅、森永勝治以来3人目。同じ58年以来、球団史上2度目の開幕戦先発全員安打による大勝発進を呼んだ。 

 鈴木誠也の抜けた穴から新しい風が吹いた。前4番の定位置だった右翼に入ったのは新人・末包。球団新人では、06年梵英心以来3人目の開幕スタメンだった。「先発を任された以上は新人も関係ない」。この気合が記録尽くしのデビュー戦の始まりとなった。

 プロ初打席は2回1死一、三塁で迎えた。カウント1―2となり、弱点と自覚する低め変化球を頭に入れた。想定通り、東の外角低めチェンジアップを最後は左手一本で拾い、左前に先制打を落とした。4回先頭ではカットボールを左翼フェンス直撃の二塁打、6回は伊勢の直球を中前へ。先発起用に3安打1打点の満点回答で応えた。

 「オープン戦で出た課題を少しずつつぶしてきた。今日はいい形で変化球を拾えた。少し前進、進歩したかな」

 18歳で初めて負けを知った。高校までは4番が定位置。地元・香川を離れる直前、「大学で同期になる選手で知ってる人、誰もおらんわ。大したことないやろ」と東洋大へ。しかし、入学前の体験入部を終えて一時帰省すると、威勢の良さが消えていた。高松空港に迎えに来た兄・恭介さんの車に乗り込んでの第一声は「中川やばいって…。あいつ絶対プロ行くで」。4年後にオリックスに入団する同期に衝撃を受け、恐ろしくレベルの高い世界に飛び込むことを知った。

 嫌な予感は当たり、東洋大ではリーグ戦通算0本塁打と歯が立たなかった。それでも球場に応援に来てくれた仲間には、こっそり伝えていた。「俺は大器晩成だから」。その根拠は、大学3年から本格的に導入したウエートトレによって打球の質が変わり、「もう少し慣れれば、自分にもできる気がする」。大阪ガス入社後、さらに10キロ増量。飛距離が伸び、生まれ変わった。新人とはいえ社会人3年目で入団した遅咲き。開幕戦から活躍できる準備ができていた。

 セ・リーグ新人の開幕戦3安打&決勝打は史上初の快挙。「記録に名前を残せたのは光栄に思います。プロ野球選手になれた一日。自分のテーマである“少しずつ毎日成長”と思ってやっていきます」。大器晩成だと自らに言い聞かせ続けて、球団史に名を残すまでに成長した。(河合 洋介)

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2022年3月26日のニュース