柔道ニッポンが超えなければならない絶対王者リネールが復活V 対日本人は24勝5敗に 世界選手権

[ 2023年5月14日 03:15 ]

柔道世界選手権第7日 ( 2023年5月13日    カタール・ドーハ )

男子100キロ超級で優勝したフランスのリネール(AP)
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 男子100キロ超級は、2連覇を含む五輪4大会連続メダルのテディ・リネール(フランス)が、17年以来の優勝を果たした。無差別級2回を含む優勝回数は11回となり、男女通じての歴代最多記録を更新。自国で迎える来年のパリ五輪へ向け、近年は色あせかけていた「絶対王者」の看板が再び輝きを取り戻した。

 決勝では個人の中立選手(AIN)として出場したロシアのイナル・タソエフを、ゴールデンスコアの延長3分41秒、浮き技で技ありを奪い優勢勝ち。その2試合前の準々決勝では、日本が誇る21歳のホープ、斉藤立(国士舘大)と対戦。試合序盤は内股で腹ばいにされるなど劣勢だったが、身長2メートル4の体格と怪力を生かして組み手で圧を掛け、指導3に追い込んで初対戦を制した。

 国際柔道連盟(IJF)などの資料によれば、リネールにとって斉藤戦は29度目の日本人選手との対戦で、通算成績は24勝5敗となった。07年の世界選手権で男子史上最年少となる18歳で初制覇した際には、2回戦で井上康生(男子日本代表前監督)に勝利。翌08年2月のフランス国際では返り討ちにし、同年の北京五輪出場を目指していた相手を絶望的な状況に追い込んだ。日本代表現監督の鈴木桂治にも、2戦2勝と無敗を誇った。

 視点を変えれば、重量級の再建を目指す日本にとって、リネールは超えなければならない壁だった。かつては08年の棟田康幸、最近では今大会5位の影浦心(日本中央競馬会)が20年に土を付けたが、のべ16人目の挑戦となった斉藤も、健闘はしたものの勝利には遠く及ばなかった。誰が代表になろうとも、パリ五輪での金メダル獲得は、打倒リネールなくして実現しそうにない。

 ▽リネールの対日本人選手全成績
(1)06年10月12日 世界ジュニア選手権・準決勝 ○ 石井 竜太
(2)07年9月13日 世界選手権・2回戦 ○ 井上 康生
(3)07年12月9日 嘉納杯・3回戦 ● 片渕 慎弥
(4)同上・3位決定戦 ● 高井 洋平
(5)08年2月10日 フランス国際・準決勝 ○ 井上 康生
(6)08年2月24日 ドイツ国際・準々決勝 ● 棟田 康幸
(7)08年10月23日 世界ジュニア選手権・決勝 ○ 百瀬 優
(8)08年12月20日 世界選手権・3回戦 ○ 高井 洋平★
(9)10年1月17日 マスターズ大会・準決勝 ○ 高橋 和彦
(10)同上・決勝 ○ 鈴木 桂治
(11)10年9月9日 世界選手権・準決勝 ○ 高橋 和彦
(12)10年9月13日 世界選手権・準々決勝 ○ 高橋 和彦★
(13)同上・準決勝 ○ 立川 広喜★
(14)同上・決勝 ● 上川 大樹★
(15)11年1月16日 マスターズ大会・準決勝 ○ 鈴木 桂治
(16)11年2月6日 GSパリ大会・決勝 ○ 上川 大樹
(17)12年2月5日 GSパリ大会・3回戦 ○ 石井 竜太
(18)13年2月10日 GSパリ大会・準々決勝 ○ 七戸 龍
(19)14年8月30日 世界選手権・決勝 ○ 七戸 龍
(20)15年5月24日 マスターズ大会・準決勝 ○ 七戸 龍
(21)15年8月29日 世界選手権・決勝 ○ 七戸 龍
(22)16年8月12日 リオ五輪・決勝 ○ 原沢 久喜
(23)19年7月7日 GPモントリオール・決勝 ○ 原沢 久喜
(24)19年10月8日 GSブラジリア大会・3回戦 ○ 影浦 心
(25)20年2月9日 GSパリ大会・3回戦 ● 影浦 心
(26)21年7月30日 東京五輪・3位決定戦 ○ 原沢 久喜
(27)21年8月1日 東京五輪・混合団体決勝 ○ ウルフ・アロン☆
(28)23年2月5日 GSパリ大会・決勝 ○ 太田 彪雅
(29)23年5月13日 世界選手権・準々決勝 ○ 斉藤 立
※対戦相手の★は無差別級、☆は90キロ超級での対戦。その他は全て100キロ超級

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