埼玉 横浜戦で流れ引き寄せたスクラムの裏側…“笑わない男”稲垣が一喝していた

[ 2023年5月13日 23:40 ]

ラグビーリーグワン・プレーオフ準決勝   埼玉51―20横浜 ( 2023年5月13日    東京・秩父宮ラグビー場 )

埼玉プロップ・稲垣啓太
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 レギュラーシーズン1位の埼玉(旧パナソニック)がリーグワン連覇へ王手をかけた。同4位の横浜(旧キヤノン)に51―20で逆転勝ち。日本代表プロップ稲垣啓太(32)らFW陣はスクラムで反則を誘い、流れを引き寄せた。

 先制されても、最大11点差でも、ビハインドで試合を折り返しても、昨季王者の埼玉は揺るがなかった。稲垣は「全部の時間がいいわけではなかったし、苦しい時間もあったけど勝ったことが全て。(トーナメントの)ファイナルラグビーは1点差でも勝てばいい」と冷静に振り返った。

 前半の攻撃面ではノートライながらSO松田力也のゴールキックのみで15得点。2点差に詰め寄って試合を折り返したことが逆転劇を呼んだ。ゴールで得点を重ねた松田が「蹴ることができるのは(味方が)反則やトライを取ってくれるおかげ」と話したように、流れを引き寄せたのがスクラムだ。稲垣も「前後半でいいスクラムが組めた」と納得の表情を見せた。

 教訓が生きている。レギュラーシーズン第15節・静岡(旧ヤマハ発動機)戦に敗れ、昨季から続いたリーグワンでの連勝は30でストップ。敗因の一つは、降雨のグラウンドコンディションに対応できず滑ったことで勢いを失ったスクラムだった。登録メンバーから外れていた稲垣は同戦の後、FW陣へ降雨の中で使用したスパイクのポイントが短かったと指摘。悪天候が予想される中で「準備が足りてない」などと一喝したという。

 「(静岡戦は)雨の試合で組む前から滑ってる選手もいた。スクラムって、組む前のセットアップで7~8割決まる。そのセットアップの段階で滑っていた。滑ったから負けたとは言わないけど、その原因をつくっていた」。

 敗戦から約1カ月。この日も雨が降ったが、力強いスクラムで押し込んだ。「前日、前々日にけっこう言ったんで。念押しで言っておいた」と稲垣。“笑わない男”は、静かに準備の大切さを語った。

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