横領隠蔽のバド協会 辞任者ゼロで現体制継続 “大甘”処分指摘され会長怒り「心外」

[ 2022年10月22日 04:20 ]

会見で謝罪をする日本バドミントン協会・関根会長(右は葉玉弁護士)(撮影・西尾 大助)
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 日本バドミントン協会は21日、元職員の公金私的流用を組織的に隠蔽(いんぺい)した問題で、隠蔽を主導したとされる銭谷欽治専務理事(69)ら3人が管理不行き届きとして「厳重注意」、関与した8人が「注意」にとどまる“大甘処分”を公表した。6つの再発防止策を打ち出したが、辞任者ゼロで現体制が継続されることになった。

 都内で会見した関根義雄会長(77)は一連の問題について「心よりおわび申し上げます」と頭を下げた。だが、処分は過去の事例に基づいた「厳重注意」止まり。さらに最も説明責任のある銭谷専務理事は会見に姿を現さなかった。反省の色がないことを指摘されると「心外です」と怒りも見せた。

 隠蔽について会長は「皆、彼(元職員)のことを思いすぎてしまった」とし、責任を問う声については「辞任は簡単だが、改革しようとしているものがなくなることもある。今は辞任しないで自分のやるべきことをやる」と強調。最低でも来年6月の役員改選まで現体制が続く。

 既に来年度の国からの強化費20%削減が決まっている。さらに日本オリンピック委員会(JOC)が調査中のガバナンスコード適合性審査で不適合と判断される可能性が高まり、今年度1億7000万円あった強化費ゼロが現実味を帯びてきた。会長は「(審査は)通ると思っている」と楽観視したが、事態は深刻だ。

 ≪JOCは説明不十分と指摘≫競技団体を統括をするJOCがコメントを発表。「一定の対応はしていただいた」とした一方で、不正会計を防ぐ業務フローの改善など6つの柱を掲げた再発防止策については「必ずしも十分な具体策の説明がなされていない」と指摘。臨時評議員会の結果報告を踏まえて対応を協議する。また、強化費の鍵を握る適合性審査について「同様のことが繰り返されないよう、助言を行っていきたい」とした。

 ≪横領隠蔽問題経過≫▼17年7月~19年4月 経理担当職員Aが親族の借金返済のため、現金を着服。計約610万円横領。

 ▼18年4月 銭谷専務理事らが横領を確認しAは一部弁償。役員らに事実を報告せず。

 ▼19年6月 Aが日本協会を諭旨退職。

 ▼19年11月 銭谷専務理事が理事会で横領の事実を報告。理事の中から、横領は理事会全体の監督責任で損害を補てんして解決するべき旨の声が上がる。東京五輪への影響等を理由に公表を控える意見でまとまり、理事らが損害補てんすることが決定。

 ▼19年12月 会長を含む理事9人が現金総額500万円を補てん。

 ▼21年10月 内部告発を受けた日本オリンピック委員会(JOC)が日本協会へ内部調査と報告を指示。

 ▼22年3月 銭谷専務理事が会見を開き、横領の事実を公表。

 ▼22年10月 スポーツ庁などによる円卓会議で不祥事事案として認定。来年度の国からの強化費20%削減が決まる(本年度なら約3500万円)。

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2022年10月22日のニュース