スノーボード採点方式 AI導入しては?

[ 2022年2月16日 05:30 ]

北京冬季五輪第12日・スノーボード女子ビッグエア ( 2022年2月15日    首鋼ビッグエア競技場 )

<北京五輪 ビッグエア女子決勝>1回目の試技をする村瀬心椛(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 【藤山健二 五輪愛】村瀬の最年少メダルは素晴らしかった。女子初の大技に挑んだ岩渕のチャレンジ精神にも感動した。超人的な空中技を堪能しながら、同時にハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢の「選手は命を張って競技をしている」という言葉を思い出した。

 スノーボードはジャッジが技の「難度」や「完成度」などを「総合的」に判断し、100点満点で採点する。この「総合的」がくせ者で、明確な基準がないために必ず選手側から不満が噴出する。

 減点方式はフィギュアスケートや体操などでも採用されていたが、現在は基準点を決めて加点していく方式に改められている。時代の最先端を行くスノーボードがいまだに時代遅れの減点方式を使用しているのは意外だが、それには思い当たる理由がある。
 IOCは98年の長野五輪でスノーボードを採用する際、手続きに時間がかかる新競技ではなく、スキー競技の中の1種目として承認した。それまで全く運用実績のない国際スキー連盟(FIS)に突然管轄権を奪われる形となったスノーボード側は強く反発。トップ選手の多くが五輪出場を回避した。その時にできた両者の間の溝は、24年たった今も完全には埋まっていない。

 厳しいルールに縛られた古いスポーツから脱却し、選手が自由に躍動して観客と一緒に盛り上がるスノーボードは、ショー的要素の強い魅せるスポーツとして若者の間で絶大な人気を誇ってきた。ただ、独自路線を歩んだ結果、競技スポーツとしての成熟は遅れ、技の評価はいまだに減点方式のままだ。FISとの関係が良好ならもっと早く他の競技と同じ加点方式に変わっていたかもしれず、残念な思いは拭えない。

 何なら五輪の時だけの特別ルールをつくってもいい。若者のスポーツらしく、他の競技に先駆けてAIを導入してもいい。次の五輪までには選手の採点への不満が解消されていることを期待したい。(特別編集委員)

続きを表示

2022年2月16日のニュース