森敏氏 渡部暁は速く逃げたからこその3位 これぞノルディック複合という展開

[ 2022年2月16日 05:30 ]

北京冬季五輪第12日・ノルディック複合男子個人ラージヒル ( 2022年2月15日    国家ジャンプセンターほか )

銅メダルを獲得した渡部暁(右)(AP)
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 【複合斬る・森敏】渡部暁の五輪メダル3つの中で一番面白い、これぞノルディック複合と呼べる試合展開だった。今季は結果が出ていなかったが、最後まで技術的要素を向上させ、最善を尽くした結果だ。

 ジャンプは条件が悪い中、良い踏み切りと空中姿勢で飛距離を伸ばした。ノーマルヒルよりも台の感触が良かったのか、練習から安心して修正に取り組んでいた。距離は1人だけ周回コースの最後の坂を「スーパースケーティング」で上っていた。ほとんどの選手が2歩の間にストックを1回突き、跳ねるように進む「ジャンピングクイック」だったが、自転車に例えると重いギアを使い、一歩でより進む走法をあえて選んだ。速くは動けないが、斜度を考慮して重いギアで対応できると分析していたと思う。

 最後は後ろの集団に追いつかれていない状態で競技場に入りたかった。ほぼ先頭で引っ張った渡部暁に対し、グローバクは集団の後方で体力を温存していた。速く逃げた分、体力は残っていなかったが、一方で速く逃げたからこそ追い込んできたのが2人だけで、メダルを獲れたとも言える。(ノルディック複合五輪2大会連続代表、東海大スキー部ノルディック担当監督)

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2022年2月16日のニュース