黒岩敏幸氏 高木菜那はよく頑張った その分脚に負担かかった

[ 2022年2月16日 05:30 ]

北京冬季五輪第12日・スピードスケート女子団体追い抜き ( 2022年2月15日    国家スピードスケート館 )

女子団体追い抜き決勝 銀メダルを獲得した日本の(左から)高木菜那、高木美帆、佐藤綾乃(AP)
Photo By AP

 【スピードスケート斬る・黒岩敏幸】ラスト100メートルまで、日本は計算通りのレースだったと思う。前半型の日本が先行し、後半型のカナダが追い上げるのは想定通り。残り半周で0秒3差で、しっかり耐えていた。あのままいけば僅差で勝てたように思うが、この結果は仕方がない。

 転倒した高木菜だが、よく頑張った。高木菜が先頭に立った時(1100~1700メートル)に懸命に引っ張り、カナダに詰められた差を再び広げることもできていた。最後は先頭の高木美がペースを上げた。スピードが上がるとカーブでかかる遠心力が強くなる。かなり脚への負担がきていたと思う。

 平昌五輪以降、団体追い抜きの戦い方は変わってきている。タイムのロスにつながる先頭交代の回数を減らし、空気抵抗を受けて負担の大きい前方の選手を、後方の選手が押してアシストするチームが増えた。特に男子ではその流れが顕著だ。日本の女子もW杯では新戦術を試した。いくつかテストした上で、今回は先頭交代の回数は減らさず、平昌五輪の時と同じ3回にした。その一方で、後方の選手が押す戦術は部分的に取り入れた。

 4年前は後方の選手が前方の選手の背中を触ることはなかった。選手間の距離が近くなれば、より空気抵抗が少なくなるメリットもあるが、接触などのリスクは高まる。終盤、高木菜は前方の佐藤の背中を一生懸命に押していた。佐藤との距離が詰まっていたことも、バランスを崩す要因の一つになった。

 4年前に比べて、他国のレベルは上がっているが、日本の隊列の美しさは以前と変わらず群を抜いている。今回もよく頑張ったと称えたい。(92年アルベールビル五輪男子500メートル銀メダリスト)

続きを表示

2022年2月16日のニュース