村瀬心椛“ビタ着”銅!真央超え17歳が冬季女子最年少メダル スノボビッグエアでは初メダル

[ 2022年2月16日 05:30 ]

北京冬季五輪第12日・スノーボード女子ビッグエア ( 2022年2月15日    首鋼ビッグエア競技場 )

銅メダルを獲得し涙する村瀬心椛(中央)=撮影・小海途 良幹
Photo By スポニチ

 決勝が行われ、女子で今大会の日本選手団最年少の村瀬心椛(ここも、17=ムラサキスポーツ)が銅メダルを獲得した。17歳100日の表彰台は、10年バンクーバー大会フィギュア銀の浅田真央の19歳を超える、冬季五輪の日本女子最年少メダル。18年平昌五輪で初採用された同種目でも男女通じて日本初メダルとなった。岩渕麗楽(れいら、20=バートン)、男子の国武大晃(20=STANCER)も4位に入った。 

 「16歳で泣くの終わりにします」。試合で負け、練習でもうまくいかず、そのたびに涙を流していた村瀬が、日本代表の西田崇コーチに書き置きを残したのは昨年1月のことだった。今大会前半のスロープスタイル(SS)は予選2位も決勝は10位。悔しさを押し殺してビッグエアに挑戦し、ついに涙した。それは、歓喜の涙。小さな体を震わせて、感慨に浸った。

 「小さな頃からの夢がかなった。諦めないでずっと練習してきて、本当に良かった」

 1回目はバックサイドでダブルコーク1080を決めて5位。2回目は「(板が)走るというか、練習でも(高く)飛んでいた」という、フロントサイドで3回転し“ビタ着”。全体で3番目に高い91・50点を記録し、3位に浮上した。最後は逆転を目指して3回転半を試みたが転倒。「“やっちゃったなー”って思う。凄く悔しい」と話したが、最後まで攻める姿勢を貫いた。

 13歳だった4年前は年齢制限で出場できず。ゲレンデに向かう車中で五輪を観戦し、夢への思いは加速した。18年5月、Xゲームで五輪金メダリストのガサーらを抑えて優勝。だが同年12月、練習中に右膝蓋(しつがい)骨骨折の大ケガを負った。表舞台から遠ざかったが、その間には成長に欠かせない出会いがあった。

 単身米国に渡ってリハビリに励んだ期間、スケートボードの東京五輪代表となった西村碧莉(あおり)と交流を深めた。同じ膝のケガを乗り越え、横乗りスポーツの世界で活躍していた3歳年上の姉貴分。先月には電話で五輪への心構えを伝授された。口酸っぱく言われたのが「いつも通りの滑りを心掛ける」ということ。経験者の言葉は心に響き、北京につなげた。

 冬季五輪の日本女子最年少メダル。「あまり気にしていなかったけど、さっき聞いて、凄くうれしい」とはにかんだ村瀬の未来は明るい。4年後は21歳、札幌が名乗りを上げる30年でも、まだ25歳。スノボの未来を担うJKライダーは、最後に「お忙しい中、ありがとうございました」と頭を下げる、折り目正しい17歳だった。

 《17歳100日》スノーボード女子ビッグエアで17歳100日の村瀬心椛が銅メダル。冬季五輪では浅田真央(10年バンクーバー大会フィギュア女子シングル銀)の19歳153日を12年ぶりに更新する、日本女子最年少メダリストとなった。男子を含めても、平野歩夢(14年ソチ大会スノーボード男子ハーフパイプ銀)の15歳74日に次ぐ、歴代2位の快挙。なお、夏季の日本女子最年少は、昨年の東京大会スケートボード女子パークで銀メダルを獲得した、開心那の12歳343日。同時にこれが日本の歴代最年少記録。

 ◇村瀬 心椛(むらせ・ここも)2004年(平16)11月7日生まれ、岐阜市出身の17歳。

 ☆サイズ 1メートル53、42キロ。

 ☆経歴 岐阜西中―岐阜第一高(2年在学中)。ムラサキスポーツ所属。

 ☆競技歴 4歳でスノーボードを始め、ジュニア時代から国際大会で活躍。13歳で出場した18年5月のXゲームBAで初出場初優勝。昨年10月のW杯BAで初優勝し、SSを含め今季通算2勝。レギュラースタンス。

 ☆妹 2人姉妹の妹・由徠(ゆら)もプロスノーボーダーとして活躍。昨年は3月の世界ジュニア、4月の全日本選手権で優勝したホープ。4年後は姉妹同時出場&メダル獲得を目指す。

 ☆名前の由来 心優しく育ってほしいという両親の願いと、秋(11月)生まれであることから椛(もみじ)を合わせて心椛に。

 ☆リモート授業 海外での遠征や合宿が多い競技のため、日本を離れている期間は専用アプリを使って配信される宿題をこなす。

続きを表示

この記事のフォト

2022年2月16日のニュース