水谷隼氏、現役時代の抜き打ちドーピング検査振り返る 「プレッシャーで出ない」、再検査は「絶望」

[ 2022年2月16日 21:48 ]

水谷隼氏
Photo By スポニチ

 昨夏開催された東京五輪の卓球混合ダブルスで金メダル、男子団体で銅メダルを獲得した元プロ卓球選手の水谷隼氏(32)が16日、「Now Do」のプレミアム音声サービス「Now Voice(ナウボイス)」で現役時代の「ドーピング」の抜き打ち検査について振り返った。

 現在行われている北京五輪で女子フィギュアスケートに出場している15歳のカミラ・ワリエワ(ROC)のドーピング違反が判明し、物議を醸している。水谷氏は「ドーピング」について「NPBアンチ・ドーピングガイド2022」の内容を伝えた後、抜き打ち検査について語り出した。

 「僕ら日本代表になるようなトップ選手は、365日どこにいるのかを提出しています」と、宿泊先の住所や練習スケジュールなど事細かく知らせなければならない。また、急きょ予定が変わったとしても、その都度更新する必要があるという。

 そのスケジュール提出以外にも「その1日の中で、絶対に自分がいるであろう1時間を提出する」とし、「僕の場合は朝の6時から7時をいつも提出していた。そうすると抜き打ちドーピングの時に、大体その時間に検査員が来ます」とした。

 水谷氏は「検査員が来る日とかは本当にわからない」と事前に通達はなく「自分の誕生日に来たこともありましたし、二日酔いでべろんべろんに酔ってる時に来たこともあった」と振り返った。急に訪れる検査員だが、「提出している1時間に来ることが非常に多い」と振り返った。

 もしも抜き打ち検査を受けられなかった場合は「ペナルティーがつきます。累計3回つくと出場停止の処分がつきます」。水谷氏は現役時代に「たまに忘れてしまったり、急きょ予定が変わったりとかして、『さすがに今日はこんなタイミングで来ないだろう』と安易な考えでいた時とかに偶然家にドーピング検査が来て、受けられなくてペナルティーがついたということもこの10何年で2、3回あった」と明かした。

 ペナルティーも1年が経つと無効になり、「何カ月間で累計3回溜まると出場停止みたいなルールだったと思います」と思い返した。また、検査員の立ち合いの下で行われる尿検査では「(検査員が)出てる瞬間を見なきゃいけないから、覗き込まれるように見てる。それがめちゃくちゃきつい。昔とか20代前半とかは、見られているプレッシャーで出ない。トイレに行きたいけど、いざそこに行ったら出ないっていうことが何回もあった」と苦労も語った。

 それでも「回数をこなすと自然と無我の境地じゃないけど、僕は目をつぶって『一人だ』っていうのを思い込ませて。マインドコントロールして出せるようになった」と振り返った。尿検査では「量」と「濃さ」を量るが、基準値に達していない場合は再検査となり「絶望ですよね」と語っていた。

 ワリエワは昨年12月のドーピング検査で、心肺機能を高めて有酸素運動を助ける禁止薬物「トリメタジジン」が検出されていた。いったんは暫定的な出場停止処分が科されたが、ワリエワ側の異議申し立てで処分が解除に。その後、国際オリンピック委員会(IOC)がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。14日にCASが個人種目への出場を認める裁定を下した。これを受けてワリエワは、15日のシングルのショートプログラム(SP)に出場し、首位に立った。

続きを表示

2022年2月16日のニュース