東海大大阪仰星 キック主体で流れをつかむ「王道の攻め」で日本一 薄田主将の先制Tから勢いそのまま!

[ 2022年1月9日 05:30 ]

第101回全国高校ラグビー大会決勝   東海大大阪仰星36ー5国学院栃木 ( 2022年1月8日    花園ラグビー場 )

<東海大大阪仰星・国学院栃木>優勝を飾り、抱き合って喜ぶ東海大大阪仰星フィフティーン(撮影・北條 貴史)
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 Aシードの東海大大阪仰星(大阪第2)が、Bシードの国学院栃木(栃木)を36―5で破り、4大会ぶり6度目の優勝を飾った。天理、東福岡に並ぶ歴代4位タイの優勝回数。無理なアタックを控えてキック主体で流れをつかむ“王道の攻め”で快勝した。この1年のテーマだった「考えるラグビー」を実践して前半に2トライの先制パンチを浴びせ、初のファイナリストになった相手の前に立ちはだかった。

 東海大大阪仰星が王道のラグビーで王者になった。前半、SO吉本のキックで陣地取りで優位に立ち、セットプレーからの連続攻撃で2トライを先取した。6分のNo・8薄田主将は「決勝は先制が大事」とパワーで強引に押し込み、12分のCTB中は「みんなが前にスペースをつくってくれた」と、スピードで中央を突破した。
 後半は部訓であり、決勝戦のテーマの「一心不乱」を守備で体現した。ゴール前のピンチの連続を防ぎ切ると、同20分に「この大会はトライをしていなかった」(薄田主将)という、隠していたモールで22メートルを押し切り、勝利を決定付けた。

 キック、セットプレーからの攻撃という定石通りの作戦は、「選手が自分たちで決めた」と湯浅大智監督(40)は語る。1年間テーマとした“考えるラグビー”が形になり、堅守を誇る相手に5トライで圧倒した。

 昨大会は準々決勝で東福岡に引き分け、抽選で涙をのんだ。新チーム発足直後の試合で、指導方針を見直す出来事が起きた。グラウンド脇で、ミスをした選手に理由を問うた。だが、生徒は答えられない。近くから一部始終を見ていた先輩教員に、指摘された。

 「間違ったことを言ってはいけない状況が、口ごもらせているんじゃないか」

 頭をぶん殴られた思いをした。「ごう慢なところがあったのでは」。監督に就任した13年度に32歳で日本一になった。既に3度も頂点に立った。勝たせるレシピが完成したつもりでいた。しかし、「いっぱい間違ってもいい。チャレンジした方が生徒は伸びていく」と気付かされた。

 教えたいことの4分の3を選手に伝えていたが、3分の2にとどめるようにした。2分の1まで我慢して、選手とフィフティー・フィフティーの関係にすると逆に上達のスピードが鈍る可能性があるため、3分の2が最良の配分だった。

 発想や自主性に任せる比率が高くなり、選手は意欲的になった。薄田主将は「先生の作戦を聞いても、一度疑って、違う方法も考えるようになった」と明かす。6度目の頂点は、展開ラグビーという戦術で達成されたのではなく、考えるラグビーの果てに成し遂げられた。(倉世古 洋平)

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