「どっかのおっさんが来た」京産大・広瀬監督が信頼を勝ち取った1年 選手と向き合い、努力は押しつけず

[ 2021年12月5日 05:30 ]

ムロオ関西大学ラグビーAリーグ最終節   京産大33―5関学大 ( 2021年12月4日    京都市・たけびしスタジアム京都 )

<京産大・関学大>表彰式後に大西元監督(右)と握手する京産大・広瀬監督(撮影・坂田 高浩)
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 さあ、胴上げだと部員の雰囲気が高まった瞬間、京産大の広瀬佳司監督(48)はスッと姿を消した。名選手だった現役時代も黒子を好んだ人柄が表れた優勝後のワンシーンだった。

 相手に合わせて戦い方を変える戦術眼が光った。就任1年目で栄冠をつかみながらも、「こんなに勝っていなかったのかというのが実感。今年はチャンスと思った。獲ってくれた学生に感謝したい」と控えめに喜んだ。

 90年代の京産大を代表するSOだった。大西元監督が「歴代No・1」と称える練習量で力を付けた。W杯には3度出場。正確なキックは「スーパーブーツ」と形容された。トヨタ自動車の監督を退いて社業に就いたが、伊藤前監督の1年での退任に伴い、母校の指揮を託された。

 4月の就任時は「選手はどっかのおっさんが来たと思っていたと思う。自分は選手との信頼関係ができていない」と感じ、部員一人一人と向き合うことを信条にした。現役時代の実績も練習量も、誇ることはなかった。

 「監督の経歴を存じ上げなかった」というFB竹下の居残りキック練習を、毎日、ボール拾いをして見守った。「聞かれたら答える」スタンスで、あらゆる方面で選手の自主性を大切にした。努力の人は、選手に押しつけず、逆に力を引き出して頂点に立った。

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2021年12月5日のニュース