世界記録でパラリンピック競泳金メダルの山口尚秀に天国からの後押しが…

[ 2021年8月29日 21:42 ]

東京パラリンピック第6日 競泳 ( 2021年8月29日    東京アクアティクスセンター )

<パラリンピック 競泳男子100メートル平泳ぎ(知的障がい)>表彰式で金メダルを手にする山口(撮影・坂田 高浩)
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 男子100メートル平泳ぎ(知的障がい)決勝が行われ、19年世界選手権王者の山口尚秀(20=四国ガス)が1分3秒77で自身の持つ世界記録を更新。パラリンピック初出場で金メダルを獲得した。

 名実ともに世界一となった山口が偉業をささげるのは祖父・美佐雄さん。孫がパラリンピックで活躍する姿を楽しみにしていた中、山口が20歳の誕生日を迎えた20年10月28日に亡くなった。母・由美さんは「20歳になったのを見届けるかのように天国に旅立ってしまって」と振り返る。

 父・峰松さんと由美さんが共働きをする中で美佐雄さんは保育園の送迎やおむつの交換も担当。新型コロナウイルスの影響でパラリンピックの開催が延期になっていなければ孫の活躍を見届けることができたに違いない。

 由美さんは「“見に行くの頑張ろうね”って言っていたんですけど」と無念そうな一方で「おじいちゃんのことなのでいつも見守ってくれていると思います。尚秀が泳いでいたら、おじいさんがどこかから背中でも押してくれているような気がして」と話す。祖母・公さんとともに幼いころから山口を歩行浴が可能な健康施設に連れて行き、水に親しむきっかけをつくってくれた存在だけに山口が見せた会心の泳ぎは天国からの後押しがあったのかもしれない。

 また、偉業達成の前日となった28日は峰松さんの55回目の誕生日。山口にとって祖父にささげる供養の金メダルは、父へのプレゼントでもあった。

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