パラトライアスロン谷真海は10位 大会招致から8年、苦難乗り越え「メダル以上の宝物」

[ 2021年8月29日 11:08 ]

東京パラリンピック・トライアスロン ( 2021年8月29日    お台場海浜公園 )

<女子 運動機能障がいPTS5> 笑顔でゴールに向かう谷 (撮影・光山 貴大)
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 運動機能障がいPTS5女子は日本選手団の旗手を務めた4度目出場の谷真海(39=サントリー)が1時間22分23秒の10位だった。

 悲願のTOKYOの舞台を谷が駆けた。スイムは5位で終えたものの、バイクから徐々に順位を落としてランのラスト1周では最下位に。それでも最後はボランティアの声援に手を振りながら、両手を挙げて笑顔でフィニッシュした。「苦しかったですけど、それも含めてトライアスロンなので。この場に立てて最高に幸せな気持ち。日本なので最後まで粘る力をもらいました」と充実の汗を拭った。

 本来なら障がいの程度が一つ重いPTS4クラスだが、競技人口が少なく18年に実施種目からの除外が決まった。国際パラリンピック委員会とワールドトライアスロン会長に自ら手紙やメールを送って掛け合い、自身より障がいが軽い選手と同じステージで戦うことになった。険しい道のりとなった中でも、ランキングでの出場権を獲得。この日のレース後は「障害のカテゴリーは自分で選べない。凄い理不尽さは感じましたし、本来こんなことが起こってはいけないという気持ち」と涙を流しつつ、それでも「まずはチャレンジできることが、トライアスロン界では大きな一歩になったんじゃないかと思う」と話した。

 13年秋のIOC総会のプレゼンテーションで「スポーツの力」の価値をスピーチして大会招致に貢献。一度は「観客として」関わることも考えたが、自身の可能性を信じて選手の立場で出場を目指した。延期で心が折れそうになりながら、家族の存在を支えにやっとたどり着いた舞台。陸上からの転向で臨んだ初めてのトライアスロンに「これまでの歩みは100点、本番はちょっと減点」と朗らかに笑いつつ、「4大会に出場してメダルには縁がないパラリンピックでしたけど、自分の中ではそれ以上の宝物。そこに向かうまでの過程を含めて自分自身のパラリンピックなので」と言葉に実感がこもった。

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