砂村光信氏がラグビー欧州遠征総括 23年W杯へ再出発ジョセフジャパンの収穫と課題

[ 2021年7月5日 05:30 ]

アイルランド戦を終え、声援に応える日本代表フィフティーン(AP)
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 ラグビー日本代表は3日、敵地ダブリンでアイルランド代表に31―39で競り負けた。前週の全英・アイルランド代表ライオンズ戦と合わせて欧州遠征は2戦2敗となったが、SH斎藤直人(23=サントリー)やWTBシオサイア・フィフィタ(22=近鉄)ら新戦力も台頭。23年W杯フランス大会への再スタートとなったチームを、本紙評論家の砂村光信氏(元U―23日本代表監督)が総括した。

 田中(キヤノン)と流(サントリー)不在のSH、福岡(元パナソニック)が抜けたWTBについては、この2試合で斎藤やフィフィタが特色を出して活躍した。だが、まだ自分のプレーで精いっぱいという印象だ。

 松島はFB、WTBにこだわらず、ピッチ上でさまざまなギャップを攻めることで味方を生かしていた。フィフィタやマシレワ(近鉄)も松島に伴ってポジションを変えるのでディフェンスは的を絞りづらかったはずだ。だが、松島の負傷交代後は2人とも自分のポジションから動けず、攻撃が単調になった。

 また、アイルランドにFWの近場を狙って攻められ、苦しくなった後半は、田中や流、福岡だったらうるさいほどFWに指示を出して修正を図っていたと思う。新しい選手たちは味方を利用できるように、もっと試合中のコミュニケーションを深める必要がある。19年W杯の「ONE TEAM」も時間をかけてつくられた。23年W杯へチームをより成熟させるために、11月のスコットランド戦までの期間に強化の場を設けることが望まれる。

 田村―中村―ラファエレの10~13番が安定しているバックスでは、日本らしい速いテンポをつくれる斎藤を今後も先発で起用するのかが焦点となる。アイルランド戦を見ても茂野は先発タイプで、途中から流れを変える選手ではない。試合運びに緩急をつけられる田中ならどんな起用法も可能だが、いつまでも頼っていられない。

 FWは第1列の選手層が充実し、ムーアとファンデルヴァルトが良かったロックはあと1人、安定してプレーできる選手が欲しい。第3列はNo・8姫野が中心になりそうだが、その分リーチの存在感が薄れている。自分のプレーに集中しているのか、試合中に周囲を引っ張るような言動が減っているのは気がかりだ。(元U―23日本代表監督)

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2021年7月5日のニュース