白鵬 進退場所で必死に見せた、相撲に生きる姿 休場明け13場所全て白星発進

[ 2021年7月5日 05:30 ]

大相撲名古屋場所初日 ( 2021年7月4日    ドルフィンズアリーナ )

明生を掛け投げで下して白星発進の白鵬
Photo By 共同

 6場所連続休場中で進退を懸けて出場した横綱・白鵬(36=宮城野部屋)が白星発進した。新小結・明生(25=立浪部屋)に攻め込まれながら土俵際の掛け投げで辛勝。右膝に爆弾を抱えながらも綱の意地を見せた。綱獲りの大関・照ノ富士(29=伊勢ケ浜部屋)は先場所敗れた平幕・遠藤(30=追手風部屋)を下し、貴景勝(24=常盤山部屋)、正代(29=時津風部屋)も勝利。1年4カ月ぶりの地方場所は上位安泰で幕を開けた。

 歴代最多優勝44回を誇る大横綱にとっても格別な勝利だった。明生に右張り手から左四つで組む。相手の寄りに腰を下ろして残し、不安のある右足一本のままで粘りを見せた。相手の右外掛けをはね上げながら絶妙な左掛け投げ。「経験とうまさで上回ったかな」と息をついた。

 勝負の後には思わず右手でガッツポーズをつくって、鬼気迫る表情になった。この時の心境を問われると「それは千秋楽に言います」とはぐらかした。横綱昇進後、休場明けの場所初日は過去に12回あるが、全て勝利。3月に手術した右膝の状態は不透明だが、春場所2日目以来111日ぶりの復帰戦で、必死に相撲に生きる姿を見せた。明るい声で「ただいま、という感じ」と勝利をかみしめた。

 春場所途中休場を決めた夜。関係者によると「相撲の神様がやめろと言っているのかな」と不安を漏らしたという。それでも引退のイメージは描けず、手術に踏み切った。リハビリに耐え、新十両の際に着けたえんじ色の締め込みで稽古。進退と向き合う力士人生の大勝負へ、純粋な気持ちで準備してきた。

 美しさを誇った体には膝以外にもサポーターなどが目立つ。07年名古屋で横綱に昇進し、14年が経過。満身創痍(そうい)の中、この危機を乗り越えられるか。初日から大きな拍手に包まれ「本当にいろんな思いがある。しゃべりだしたら、今日で終わらない」と表情を引き締める。背水の陣はまだまだ波乱含みだ。

続きを表示

この記事のフォト

2021年7月5日のニュース