五輪再延期議論 ついに組織委から出た、小山理事「無観客でもなかなか難しい」

[ 2021年5月27日 05:30 ]

東京五輪・パラリンピック組織委の理事会であいさつする橋本聖子会長
Photo By 代表撮影

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が26日に都内で開いた理事会で、理事の間から現状での開催を不安視する声が上がった。小山くにひこ理事(東京都議会議員、都民ファーストの会)が「あらゆること、再度の延期要請も含めて想定しなくてはいけないのでは、ということを話し合った」と明かした。

 国際オリンピック委員会(IOC)や組織委が予定どおりの開催を強調するのとは対照的に、国内は緊急事態宣言が続き、米国務省も日本への渡航中止を勧告。小山理事は「今の感染状況を見ると、無観客でもなかなか難しい」と再延期の意見が浮上した背景を説明した。中止の可能性については「組織委は大会開催を前提にしている組織。その議論はできない」とした上で、「無観客開催とか、都民や国民に理解されないと難しい(という意見が出た)」と各理事が危機感を抱いていると訴えた。小池百合子都知事の意向は否定しながらも、都民ファーストの会では「無観客以上に難しい事態が発生した時に」再延期の選択肢も十分あると議論していたという。

 再延期の可能性を否定した組織委の武藤敏郎事務総長は「中止、延期すべきという話はなかった」と強調。一方で複数の理事から、一般への情報発信が不十分との苦言があったとも明かした。説明不足のまま開催へ突き進む姿勢に、身内がくぎを刺す形となった。

 《関係者来日削減も「五輪ファミリー」変わらず》理事会では、五輪時に来日する選手以外の関係者が延期前の約14万1000人から現時点で約5万9000人に削減されたことが報告された。だが、大幅に削減されたのはゲストやスタッフで、約3000人の「オリンピックファミリー」(IOC委員や国際競技団体役員)はそのまま。武藤事務総長は今後削減する可能性を示しながらも「ほとんどが必要不可欠な人材。皆さん必要性があって来る」と説明した。

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2021年5月27日のニュース