一二三「古賀先生のような担ぎ技で」金必ず、日体大の大先輩から魂受け継ぐ

[ 2021年3月26日 05:30 ]

オンライン取材に応じる阿部一二三
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 「平成の三四郎」こと柔道の92年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダリストの古賀稔彦さんが、53歳の若さで亡くなり一夜明けた25日、東京五輪男子66キロ級代表の阿部一二三(23=パーク24)がオンライン取材に応じ、“古賀魂”を受け継ぐことを誓った。阿部にとって古賀さんは日体大の30歳上の大先輩に当たり、豪快な担ぎ技を最大の武器とする点も同じ。119日後に開幕する大舞台で、金メダル獲得を大先輩に報告する。

 柔道界が衝撃と悲しみに覆われてから一夜。取材に応じた阿部は、沈痛な面持ちで「本当にびっくりした。古賀先生のような柔道家になれるように、これからも精進していく」と言葉を絞り出した。

 最も印象に残っている思い出に挙げたのが、ジュニア時代に初めて言葉を掛けてもらった時のことだという。豪快な背負い投げを武器に、中2で初めて日本一になった頃、雲の上のような存在だった古賀さんから突然声を掛けられた。「初めて言葉を掛けてもらった時の喜びは今でも覚えている」。有頂天になり、具体的に掛けられた言葉は覚えていないというが、その後は運命に導かれるように日体大に進学した。

 大学時代は古賀さんの長男・颯人が同期、次男・玄暉(げんき)は1学年後輩で同じ釜の飯を食べ、18年には全日本学生体重別団体優勝大会で初優勝。愛息たちを見ようと大会や練習に訪れる古賀さんと対面する機会は少なくなかった。近年はアドバイスを受けることはなかったというが、「豪快な担ぎ技で海外の選手を倒すのは憧れで、僕も試合で勝っていきたいという思いがある」と今も背中を追い続ける存在だ。

 日体大出身の柔道男子の五輪代表は、阿部が96年アトランタ五輪の古賀さん以来、6大会ぶりだ。「自分自身も古賀先生のような豪快な担ぎ技で五輪で優勝したい。少しでも近づけるように頑張りたい」。その遺志と柔道スタイルを受け継ぎ、一世一代の大舞台へ。金メダルへの決意を、さらに強く固いものにした。

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2021年3月26日のニュース