天涯孤独の男・南ア代表WTBマピンピ 「僕のストーリー知って希望持って」 ドコモの救世主に期待

[ 2020年11月13日 05:30 ]

NTTドコモに加入した(左から)SOオーウェン・ウィリアムス、WTBマカゾレ・マピンピ、ヨハン・アッカーマン監督
Photo By スポニチ

 ラグビー・トップリーグのNTTドコモに加入した南アフリカ代表のWTBマカゾレ・マピンピ(30)が12日、大阪市内で入団会見をした。昨年のワールドカップ(W杯)で計6トライを挙げ、優勝に貢献した超快足トライゲッターは、不幸な生い立ちで知られる。「僕のストーリーを知ってもらいたい」と多くの人の希望の星になることを誓った。

 
 マピンピは背負っているものが違う。活躍が、不遇な境遇にいる世界の子どもたちの励みになると考えている。入団会見でも使命感を口にした。

 「生い立ちが僕のレガシーで、それをみんなに知ってもらうことは光栄。僕よりも苦しい人は国にまだまだいるし、他の国にもいる。僕のストーリーをシェアすることで、希望を持ってもらいたい」

 南アフリカの農村に生まれ、一緒に暮らした母、兄と妹を事故や病気で相次いで亡くし、14歳で天涯孤独になった。19年W杯で、南ア代表は家族の写真を身につけて戦ったそうだが、マピンピだけは自分の顔写真だったという。家族を早くに失い、貧しさもあって、何も残っていなかったからだ。

 サクセスストリーは6トライを挙げて優勝に貢献した昨年のW杯で終わりではない。10月上旬にドコモに合流。下沖正博ゼネラルマネジャーは、練習での運動量、スピードなどの数値が飛び抜けて高いと舌を巻く。1年契約のスター選手は、チームへの貢献意欲も高く、会見のあいさつの第一声は「まいど」。あす14日の練習試合にさっそく先発する。

 現役バリバリのニュージーランド代表のSHでTJ・ペレナラもやってくる。大物2人が、下部リーグとの往復を繰り返すチームの救世主になりそうだ。

 ◆マカゾレ・マピンピ 1990年7月26日生まれ、南アフリカ出身の30歳。同国の公用語の一つ、ズールー語が第一言語で、以前は英語を話せなかった。昨年のW杯準々決勝・日本戦では2トライ。母国のシャークスから、初海外移籍となるNTTドコモ入り。南アフリカ代表14キャップ、通算14トライ。1メートル81、90キロ。

 《アッカーマン新監督 8位以内目指す》元南アフリカ代表のロックで、「再建の名人」として世界的な評価を得ているアッカーマン新監督はFWもパスでつなぐ展開ラグビーを目指す。実現のために、会見では「しんどいことをしながら笑顔になること」とモットーを語った。指導者ながら朝から筋トレに励み、「選手以上に鍛えている」と評判。この太い腕を見れば選手もやらなければという気持ちになりそうだ。1月16日の日野戦で開幕する今季、チームは8位以内を掲げている。

続きを表示

2020年11月13日のニュース