サニブラウン1強時代!ぶっちぎりVで世界切符「何ともいえないタイム」も大会新10秒02

[ 2019年6月29日 05:30 ]

陸上日本選手権第2日   男子100メートル ( 2019年6月28日    博多の森陸上競技場 )

男子100メートル決勝、1位でゴールするサニブラウン(右)(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 世界選手権(9~10月、ドーハ)の代表選考を兼ねて行われ、男子100メートル決勝は日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が大会新記録となる10秒02で令和最初の短距離王者に輝いた。前日本記録保持者の桐生祥秀(23=日本生命)との9秒台対決に注目が集まったが、2位の桐生に0秒14先着。ぶっちぎりで世界切符を獲得した。小池祐貴(24=住友電工)は3位だった。

 昼すぎの豪雨がレース2時間前にはピタッとやんだ。100メートルのレースも終わってみれば、嵐とは無縁。日本短距離の頂点に立ったのはやはりサニブラウンだった。2年ぶりに返り咲いた主役はフロリダ大のポーズという“ゲーターポーズ”で自らの勝利を祝福。「何ともいえないタイムだけど優勝できて良かった」。博多の夜に笑顔がはじけた。

 9秒台ランナー2人がスタートラインに並ぶのは大会史上初。歴史的な一戦を見ようと詰めかけた約1万4000人の観客も異様な熱気で選手を迎えた。

 予選、準決勝同様に満足なスタートではなかったという。それでも、フライングさえなければ他の追随を許さない。隣の前日本記録保持者の桐生すら「全然気にしていなかった。自分との戦いに集中した」と置き去りにした。圧倒的な加速で大会記録を0秒03更新。向かい風0・3メートルの条件もあって、観客の期待した9秒台は持ち越しとなったが、「周りは気にしない。自分との戦いです」とプレッシャーをはねのけた。

 希代のスプリンターに成長したサニブラウンだが、かつては陸上から距離を置いた時期もあった。城西大城西中時代には仲が良かった陸上部の先輩が卒業したことで、心にぽっかりと穴があいた。部をやめるつもりはなかったが一時的に部活から足が遠のいた。陸上への思いが再燃したきっかけは中学3年の東京都春季大会を優勝したことで、全国が目標に変わったという。「タイムを見て全中を目指せる、全国に行ける」。恩師の山村貴彦監督のアドバイスで勝負への思いが湧き上がった。“楽しい陸上”から勝負を懸けた戦いへとのめり込んで約5年。再び世界の猛者たちへの挑戦機会を得た。

 18歳で出場した2年前のロンドン世界選手権では男子100メートルで日本人最年少となる準決勝進出。その準決勝ではスタート直後にバランスを崩す失敗で決勝を逃しただけに、決勝進出を誰よりも渇望する。「世界は化け物みたいな人が多い。強さを求めていきたい」。ただ、サニブラウンにはまだ今大会で果たすべきことがある。29日は200メートル予選に登場。30日の決勝で2年ぶりの2冠を達成し、3カ月後に控えるドーハでの世界選手権に挑む。 

続きを表示

この記事のフォト

2019年6月29日のニュース