ラグビーW杯イヤーにやるべきことは…現状に感じた違和感や温度差

[ 2019年5月14日 08:30 ]

試合後にファンと握手するウルフパックフィフティーン
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 かたや66―17で圧勝し、かたや0―33で完敗する。5月12日、ウルフパックとサンウルブズの試合が初めてダブルヘッダーとして行われた1日は、さまざまな違和感や温度差を感じる1日となった。

 ラグビーW杯日本代表候補で構成するウルフパックの対戦相手は、スーパーラグビーのブランビーズB。試合後、先発したSH流大(サントリー)が「正直、(自分たちの)力量を計れるかというと、そういう相手ではなかった」と言ったように、個々の選手の力はもちろん、チームとしてこの一戦にターゲットを置き、組織的な練習をしてきたかどうかも疑わしかった。

 ハイランダーズで6年間指揮を執った経験を持つジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、もちろんそのあたりの事情を熟知している。その上でニュージーランド、日本を含めて計6試合の強化試合を計画したのだろう。したがって結果を求める試合ではなく、あくまで2月の合宿開始から取り組んできたスキルやフィジカル強化の進度を確認するのが目的。加えて6月から正規の日本代表として活動するための、セレクションの場でもある。流もその点は「2月からやってきたことが着々とできている」と手応えを口にした。

 だが、Bチーム相手にできたといって、W杯で同じようにできる保証になろうはずがない。そんなことは過去の日本代表どころか、あらゆるスポーツの歴史が証明している。せめてバイウィーク明けのサンウルブズの今季最後の国内2連戦で、より日本代表に近いメンバーを構成し、高い強度の試合を経験するべきだと考えるが、残念ながらその予定はない。

 両チームの前日練習後と、試合後の選手の取材を通じても、それぞれのチーム内に流れる空気の違いを感じざるを得なかった。かたやピークを合わせるのはあくまで4カ月後とばかりに先を見ているチームと、生き残りのために選手個々の焦燥感があふれるチーム。ジョセフHCが言うように、たくさんの選手に出場機会を与えるという意味では、現在の2チーム体制にはメリットもある。だがそれは、集大成の年にやるべきことなのか。

 4月以降、ウルフパックの選手には異口同音に「もう少し強度の高い、サンウルブズで試合に出てみたくないか」との主旨の質問が繰り返された。答えは一様に「それは僕らがコントロールできないこと」という内容。だが選手によっては、高い強度の試合を経験すべき、との考えをにじませる。声を大にして言えない彼らも、どことなく焦燥感を漂わせているのが現実だ。

 一つ確実に言えることは、過去の日本代表も、他のどこの国も、経験したことのない強化プランでW杯への準備が進んでいるということ。もちろん成功は願いたい。一方でもう、後戻りはできない。(記者コラム・阿部 令)

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