白鵬 綱の貫禄、全勝キープ 大関獲り貴景勝を「邪魔」

[ 2019年3月21日 05:30 ]

大相撲春場所11日目   〇白鵬―貴景勝● ( 2019年3月20日    エディオンアリーナ大阪 )

貴景勝(左)を上手投げで破り全勝を守った白鵬(撮影・亀井 直樹) 
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 横綱・白鵬が大関獲りの関脇・貴景勝を上手投げで下して11戦全勝とし単独トップを守った。これで先場所敗れた3人にリベンジを果たしたことになり、42度目の優勝へ視界良好だ。貴景勝は3敗目。1敗で逸ノ城、2敗で鶴竜、高安、豪栄道ら5人が追う展開となった。カド番の大関・栃ノ心は5敗目を喫した。

 宣言は成し遂げる。それが白鵬のやり方だ。貴景勝を退けると、余韻が残る土俵で37本の懸賞を受け取り、貫禄を漂わせてゆっくりと花道を引き揚げた。

 「間をとりながら、じっくり見ていったという感じかな。若いうちは、ああいう相撲を稽古でずっとやっていましたからね」

 貴景勝が当たった後に引いて呼び込もうとしても突っ込まず、張り手を繰り出しながらも冷静だった。逆に突っ込んできた若武者を捕まえ、がっちりと上手を取った。こうなると勝てる者はいない。十八番の左上手投げ。豪快に転がした。

 場所前にNHKの番組で優勝31回の横綱・千代の富士の映像を見た。後に平成の大横綱となる貴乃花こと貴花田との初対戦を控えた1991年夏場所前に「ちょっと邪魔してやろう」と語っていた。

 白鵬も今場所前、貴景勝の大関獲りについて聞かれると「ちょっと邪魔してやろう」と尊敬する昭和の大横綱の言葉を借りてニヤリ。当時の千代の富士は貴花田に敗れ、この場所を最後に引退。世の中に世代交代を印象付けた。しかし、この日の白鵬は有言実行で“邪魔”をした。世代交代が時期尚早と言わんばかりだ。

 初場所は、平成最後の天覧相撲に備えて初日にピークを持っていき終盤に疲労が蓄積。11日目から御嶽海、玉鷲、貴景勝と3連敗し休場した。今場所はこの3人に雪辱。この日の朝も、11日目の貴景勝との対戦に「先場所は13日目。2、3日の違いは大きい」と自信を見せていた。新たな時代が来る前に主役を譲るつもりはない。平成最後の賜杯を受け取る態勢に入った。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)白鵬が相手の最初の出足を止めたことが大きかった。元気な人に勝って「よし」となるだろう。

 ▼阿武松審判部長(元関脇・益荒雄)仕切りから白鵬の気迫が凄かった。まわしを取ることに集中していた。絶対に勝つんだという気迫を感じた。

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